AI導入支援会社の選び方|顧問・研修・開発・内製化支援の違いと費用

AIツールを契約したものの、使っているのは一部の社員だけ。外部に相談したいが、顧問・研修・開発のどれを頼めばよいのか分からない。こうした悩みを持つ経営者やDX担当者は少なくありません。
「AI導入支援」と名乗るサービスは、月1回の相談に乗る顧問から、社員向けの研修、自社専用の仕組みの開発、内製化の伴走まで幅があります。支援範囲が違えば、成果物も契約形態も費用も変わります。
この記事では、AI導入支援を顧問・研修・開発・内製化支援の4つに分け、それぞれの違いと費用の目安、自社に合う選び方を解説します。支援会社を見極めるチェックポイントと、使える補助金・助成金も紹介するので、依頼先の検討にお役立てください。
AI導入支援会社は、会社名より先に「どの支援範囲を頼むか」を決めてから選ぶのが基本です!
まず、支援範囲ごとの違いを一覧で示します。
| 支援範囲 | 主な成果物 | 費用の目安(概算) | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| AI顧問 | 定例での助言、活用方針・優先順位の整理、ツール選定の判断材料 | 月額5万〜50万円 | 何から始めるか決まっていない/社内に判断できる人がいない |
| AI研修 | 研修の実施、教材、利用ルールのひな形 | 1回15万〜50万円、複数日プログラムは100万〜300万円 | ツールは入れたが、利用が一部の社員にとどまっている |
| AI開発 | 自社専用の仕組み(業務エージェント、社内ナレッジ検索など)と運用手順 | 50万〜1,500万円(基幹システムとの連携は1,000万円〜) | 自動化したい業務が決まっている |
| 内製化支援 | 自社の担当者が作り、直せる体制、手順書、引き継ぎ | 月額30万円〜×3〜6か月 | 外注に頼り続けず、自社で改善を回したい |
この表の費用は、各社が公開している料金例などを参考にした本記事独自の概算で、確定見積もりではありません。支援範囲別の費用をまとめた公的な統計は見当たらないため、検討の出発点としてお使いください。
API利用料・ツール利用料・サーバー費・保守費・消費税は含みません。対象人数、対象業務の数、契約期間によって金額は変わります。
AI導入支援とは|支援会社への相談が増えている背景
まず、言葉の範囲と、外部の支援が求められている背景を公的な調査で確認します。

AI導入支援とは、業務への定着までを外部が支えるサービス
「AI導入支援」に、法令などで決まった定義はありません。本記事では、企業がAIを業務に取り入れ、社員が日常的に使う状態になるまでの過程を、外部の会社が支えるサービス全般を指す言葉として使います。
同じ名前でも中身が違うため、会社を比べる前に支援範囲を分けて考える必要があります。
AIを導入している企業は42.3%|従業員規模で差がある
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2026年7月に公表した「DX動向2026」によると、AIを「導入している」と回答した企業は42.3%、「現在、試験利用をしている」は15.7%で、合計58.0%の企業が何らかの形でAIを導入・試験利用しています。回答企業は1,799社です。
IPAは、従業員規模で導入割合に差が見られる点も示しています。効果については、「期待以上の効果があった」「期待どおりの効果であった」の合計が31.8%で、最も多い回答は「一定の効果はあった」の50.6%でした。
出典・参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」(2026年7月) DX動向2026(報告書ページ)/プレスリリースのポイント(PDF)
導入・運用の課題は「人材・理解・ルール」の3つ
同じ調査で、AI導入の効果の内容を見ると、「業務が効率化したり迅速化した」が91.6%と最も高い一方、「売上や利益が向上した」は3.9%にとどまります。
AI導入・運用上の課題は、「専門人材が不足している」が50.1%と最も高く、次いで「生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している」が45.8%、「適切な利用を管理するためのルールや基準の作成が難しい」が39.7%でした。IPAはこれを、人材不足・リテラシー不足・ガバナンス整備の遅れの三大課題と整理しています。
データ面の準備も進んでおらず、AIの学習に使うデータを「整備しておりAIに活用している」と回答した企業は7.0%でした。
出典・参考:IPA「DX動向2026」(2026年7月) DX動向2026(報告書PDF)/プレスリリースのポイント(PDF)
経済産業省の「DX支援ガイダンス」も、人材・情報・資金が不足している企業が独力でDXを推進することは難しく、伴走役となる支援機関による支援が有効だと整理しています。AIに限らないDX全般の資料ですが、外部の伴走を使う考え方の裏づけになります。
出典・参考:経済産業省「DX支援ガイダンス -デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ-」 DX支援ガイダンスの掲載ページ
人材・理解・ルールの3つの課題は、それぞれ顧問・研修・内製化支援といった支援範囲に対応します。
使ってはいるが、組織的な取組がない企業が約3割
総務省の「令和8年版 情報通信白書」は、企業における生成AIの利用状況を別の角度から調べています。自社の何らかの業務で生成AIを利用していると回答した日本企業は86.4%でした。
一方で、全社横断・部署単位・個人業務単位のいずれかで組織的な活用に取り組んでいる企業は65.6%で、「組織的な取組はない」と回答した企業が27.0%あります。
白書は、規模の小さい企業のAI活用ではトップダウンの関与がキーポイントになっていることがうかがえる、とも分析しています。
出典・参考:総務省「令和8年版 情報通信白書」企業におけるAI利用の現状(2026年7月) 生成AIの業務利用状況/組織的な取組状況
なお、白書とIPAの調査は対象企業も設問も異なるため、数値を単純に比べることはできません。
個人が試しに使う段階から、組織として成果を出す段階へ進むところに壁があります。AI導入支援会社への相談は、この壁を越えるための手段です。
業務に合わせたAIエージェントを開発
その業務、AIで自動化できるか無料で診断します
- AIを使いたいが、どの業務から手をつければいいか分からない
- PoC(試作・検証)で止まり、現場で使われるところまで進まない
- 社内にAIに詳しいエンジニアがいない
八木(Last Scene)週1回の定例で動くものをお見せしながら、御社だけで運用できる状態まで伴走します。
「この作業は自動化できる?」の一問からご相談ください。
AI導入支援の4分類|顧問・研修・開発・内製化支援の違い
AI導入支援は、支援範囲によって顧問・研修・開発・内製化支援の4つに分けられます。この分類は本記事での整理で、公的な区分ではありません。


AI顧問|相談と意思決定を支える
AI顧問は、定例の打ち合わせやチャットでの相談を通じて、AI活用の方針づくりと意思決定を支えるサービスです。成果物は、対象業務の優先順位、ツール選定の判断材料、進め方の助言などです。
契約前に、月に何時間まで相談できるか、資料の作成まで含むかを確認しましょう。
AI研修|社員の利用スキルと利用ルールをそろえる
AI研修は、社員がAIツールを安全に使いこなせるようにするサービスです。成果物は、研修の実施と、教材、社内の利用ルールのひな形などです。
研修内容を比べるときの物差しになるのが、経済産業省の「デジタルスキル標準」です。全てのビジネスパーソンが身につけるべきスキルを定義した「DXリテラシー標準」と、DXの推進に必要な役割や習得すべきスキルを定義した「DX推進スキル標準」で構成されています。
令和8年4月にはver.2.0が公表され、データマネジメント類型が新設されました。
出典・参考:経済産業省「デジタルスキル標準」(ver.2.0・令和8年4月) デジタルスキル標準の掲載ページ
研修会社には、全社員向けか推進担当者向けか、自社の業務を題材にした演習があるかを聞きましょう。
AI開発|自社専用の仕組みを作る
AI開発は、自社の業務に合わせた仕組みを作るサービスです。問い合わせ対応や書類作成を自動化する業務エージェント、社内文書を参照して回答するナレッジ検索などが代表例です。
費用の幅は4分類の中で最も大きく、内訳はAIエージェント開発の費用相場で詳しく解説しています。
開発会社そのものの比べ方は、AI開発に強い企業の選び方も参考にしてください。
内製化支援|自社で作り、直せる状態まで伴走する
内製化支援は、外部の専門家が一定期間伴走し、自社の担当者がAIの仕組みを作り、直せる状態にするサービスです。成果物は、動く仕組みに加えて、手順書と、担当者に移ったスキルです。
内製と外注のどちらが合うかは、システム開発の外注と内製の比較で整理しています。
4分類の比較表|成果物・契約形態・期間・終わり方


4つの型は、契約形態と終わり方にも違いがあります。次の表は本記事での整理で、実際の条件は契約によって変わります。
| 支援範囲 | 契約形態の傾向 | 期間の目安 | 終了の条件 |
|---|---|---|---|
| AI顧問 | 準委任 | 月単位で更新 | 契約期間の満了 |
| AI研修 | 準委任 | 半日〜数日、複数回の場合は数か月 | 予定した回数の実施 |
| AI開発 | 準委任または請負 | 規模によって数か月 | 成果物の検収、または契約期間の満了 |
| 内製化支援 | 準委任 | 3〜6か月 | 自社の担当者への引き継ぎ完了 |
業務の遂行そのものを依頼する契約です。民法第656条は、法律行為でない事務の委託に委任の規定を準用すると定めています。
民法第632条は、請負を「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」契約と定めています。完成した成果物に対して支払うのが請負、作業の遂行に対して支払うのが準委任です。
出典・参考:e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」第632条・第656条 民法の条文
顧問・研修・内製化支援は、成果を事前に約束しにくいため準委任になりやすく、開発は準委任と請負のどちらもあります。これは本記事の整理で、法的な助言ではありません。
どの型でも、契約前に「何が終われば完了か」を確認しましょう。終わり方が決まっていない契約は、月額だけが続く原因になります。
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自社に合う支援範囲の選び方|課題と社内体制から決める
どの支援範囲が合うかは、会社の評判ではなく、自社がいま抱えている課題で決まります。ここでは、よくある4つの状況ごとに、最初に頼む支援範囲を整理します。


何に使うか決まっていないなら、顧問で対象業務を絞る
「AIで何かしたいが、対象の業務が決まっていない」段階で開発会社に見積もりを頼んでも、金額の根拠になる要件がありません。この段階では、顧問型の支援で対象業務を絞るのが近道です。
顧問には、業務の一覧を見せたうえで、効果が出やすい業務と、AIに向かない業務を仕分けてもらいます。
ツールはあるが使われていないなら、研修と利用ルールの整備
生成AIのツールを契約したのに利用が広がらない企業では、使い方が分からないことに加えて、「何を入力してよいか分からない」という不安が壁になっています。この場合は、研修と利用ルールの整備を同時に進めます。
総務省の令和8年版情報通信白書によると、日本企業が生成AIの利用で懸念するリスクは、「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」が最も多く、次いで「出力結果の精度に問題がある」「著作権等の権利を侵害する可能性がある」の順でした。リスク対策としては、「全社的な指針やガイドラインを整備している」が41.1%で最多です。
出典・参考:総務省「令和8年版 情報通信白書」懸念されるリスク及びリスク対策(2026年7月) 令和8年版 情報通信白書の該当ページ
入力してよい情報の線引きがなければ、慎重な社員ほど使わなくなります。
利用ルールを作る際の参照先になるのが、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」です。令和8年3月31日に公表され、本編のほかにチェックリストやワークシートも公開されています。
出典・参考:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日公表) AI事業者ガイドラインの掲載ページ
研修を頼むときは、操作の説明だけで終わらず、自社の利用ルールの案まで一緒に作ってもらえるかを確認しましょう。
自動化したい業務が決まっているなら、開発を小さく始める
「見積書の作成を自動化したい」「問い合わせの一次回答を任せたい」のように対象業務が決まっているなら、開発型の支援が合います。最初から全業務を対象にせず、1つの業務で小さく作って効果を確かめましょう。
開発会社に相談する前に、対象業務の流れ、使うデータ、求める精度を整理しておくと、見積もりの精度が上がります。整理の仕方はAIプロジェクトの要件定義の進め方で解説しています。
外注に頼り続けたくないなら、内製化支援を契約範囲に入れる
AIの仕組みは、業務の手順が変わるたびに指示文や参照データを直す必要があります。修正のたびに外注すると、費用と待ち時間が発生します。
自社で直したい企業は、開発の契約に「担当者への引き継ぎ」と「手順書の作成」を含めるか、内製化支援として別に契約しましょう。
内製化支援を受けるには、自社側に時間を確保できる担当者が必要です。
複数の型を組み合わせるときの順番
4つの型は、課題に合わせて順番に組み合わせることもできます。
| いまの課題 | 最初に頼む支援範囲 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 何に使うか決まっていない | AI顧問 | 絞った業務で開発または研修へ進む |
| ツールが使われていない | AI研修 | 利用ルールを整備し、効果の大きい業務を開発する |
| 自動化したい業務が決まっている | AI開発 | 運用を見ながら内製化支援で引き継ぐ |
| 外注への依存を減らしたい | 内製化支援 | 自社で改善し、必要なときだけ顧問に相談する |



最初から全部を1社にまとめて頼むより、いまの課題に合う支援範囲を1つ決めて始めるほうが、判断を誤りにくくなります!
1社にまとめて頼む場合も、契約は段階ごとに分け、成果を確認してから次に進みましょう。
AI導入支援の費用相場|支援範囲別の目安と年間総費用
AI導入支援の費用は、支援範囲によって桁が変わります。ここでは支援範囲別の目安と、月額だけでは見えない年間総費用の考え方を説明します。


支援範囲別の費用目安
冒頭の表の費用を、金額が動く要素と合わせて整理します。
| 支援範囲 | 費用の目安(概算) | 金額が動く主な要素 |
|---|---|---|
| AI顧問 | 月額5万〜50万円 | 月の相談時間、定例会の回数、資料作成の有無 |
| AI研修 | 1回15万〜50万円、複数日プログラムは100万〜300万円 | 受講人数、時間数、自社向けの作り込み |
| AI開発 | 50万〜1,500万円(基幹システムとの連携は1,000万円〜) | 対象業務の数、連携するシステムの数、求める精度 |
| 内製化支援 | 月額30万円〜×3〜6か月 | 伴走の頻度、育成する担当者の人数、期間 |
この表は、各社が公開している料金例などを参考にした本記事独自の概算で、確定見積もりではありません。支援範囲別の費用を調べた公的な統計は見当たらないため、出典を示せる相場ではない点にご注意ください。
API利用料・ツール利用料・サーバー費・保守費・消費税は含みません。
費用が変わる5つの要因
見積もりの金額は、主に次の5つで変わります。
- 対象人数
- 対象業務の数
- 成果物の有無
- 期間
- データとルールの整備状況
見落とされやすいのが、5つ目のデータとルールの整備状況です。データの整理や利用ルールの作成から頼む場合は、その分の作業が見積もりに加わります。
年間総費用の計算例|月額だけで比較しない


支援会社を月額だけで比べると、判断を誤ります。年間で実際にかかる費用は、次の式で計算しましょう。
年間総費用=初期費用+月額×契約月数+社内担当者の工数+ツール・API利用料−補助金・助成金
仮定の数字で計算してみます。以下の金額はすべて説明のための仮定で、相場や見積もりではありません。
| 項目 | 仮定の条件 | 金額(仮定) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 導入時の研修を1回実施 | 30万円 |
| 月額×契約月数 | 月額30万円の伴走を6か月 | 180万円 |
| 社内担当者の工数 | 月20時間×12か月×時間単価3,000円 | 72万円 |
| ツール・API利用料 | 月5万円×12か月 | 60万円 |
| 合計 | 補助金・助成金を差し引く前 | 342万円 |
月額×契約月数だけを見ると180万円ですが、年間総費用は342万円になります。この仮定では、支援会社に払う月額は総費用の半分ほどにすぎません。
社内担当者の工数は請求書に出てこないため、見落とされがちです。
補助金・助成金は、採択や支給が決まるまで差し引かずに計算するのが安全です。経費を支払ったあとで申請する制度もあるため、いったん全額を支払える資金計画が必要です。
見積もりで確認する「含まれないもの」
見積書を受け取ったら、金額だけでなく「何が含まれていないか」を確認しましょう。あとから追加費用になりやすい項目は次のとおりです。
- AIサービスのAPI利用料とツールの月額利用料
- サーバー費などの実行環境の費用
- 予定回数を超えた研修や打ち合わせの追加費用
- 納品後の保守、修正、問い合わせ対応
- 利用マニュアルや手順書の作成
含まれないものが見積書に明記されている会社のほうが、契約後の行き違いは少なくなります。
業務に合わせたAIエージェントを開発
その業務、AIで自動化できるか無料で診断します
- AIを使いたいが、どの業務から手をつければいいか分からない
- PoC(試作・検証)で止まり、現場で使われるところまで進まない
- 社内にAIに詳しいエンジニアがいない



週1回の定例で動くものをお見せしながら、御社だけで運用できる状態まで伴走します。
「この作業は自動化できる?」の一問からご相談ください。
AI導入支援会社を選ぶ5つのチェックポイント
支援範囲と予算の目安が決まったら、候補の会社を比べます。


支援会社は「実績・成果物・契約形態・データの扱い・引き継ぎ」の5点で比べましょう!
チェック1. 自社が頼みたい支援範囲で、本番運用までの実績があるか
「AI導入支援の実績多数」と書かれていても、中身が研修中心の会社と開発中心の会社では得意分野が違います。自社が頼みたい支援範囲での実績を確認しましょう。
開発や内製化支援を頼むなら、試作で終わった事例ではなく、現場で使われ続けている事例があるかを聞きます。研修を頼むなら、受講後に利用が定着したかまで追っているかを聞きましょう。
チェック2. 成果物と完了条件が、契約前に文書で示されるか
「伴走します」「定着まで支援します」という説明だけでは、何が納品されるのか分かりません。提案書や見積書に、成果物と完了条件が書かれているかを確認します。
顧問なら月の相談時間と報告の形式、研修なら回数と教材、開発なら動作する範囲と検収の方法が、文書で示されている状態が目安です。
チェック3. 契約形態(準委任・請負)が支援内容と合っているか
4分類の比較表で説明したとおり、準委任は作業の遂行に、請負は仕事の完成に報酬を支払う契約です。
対象業務を探る段階の支援は、完成の形を事前に決められないため、準委任が合います。作るものが明確に決まっている開発は、請負にすることで完成の責任を明確にできます。
準委任の契約では、成果物の代わりに、稼働時間の報告や定例での進捗報告を求めましょう。
チェック4. 入力データの扱いと学習利用の条件が明記されているか
AI導入支援では、自社の業務データや顧客情報を支援会社やAIサービスに渡す場面があります。
経済産業省は2025年2月に「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公表し、保護されるべきデータや情報が予期せぬ目的に利用され、第三者に提供されるなど、想定外の不利益を被る可能性があると指摘しています。
出典・参考:経済産業省 ニュースリリース「『AIの利用・開発に関する契約チェックリスト』を取りまとめました」(2025年2月18日) 経済産業省のニュースリリース
個人情報を扱う場合は、さらに注意が必要です。個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人データを含むプロンプトを入力する場合、サービスの提供事業者がその個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう注意喚起しています。
出典・参考:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日) 個人情報保護委員会の該当ページ
支援会社には、預けたデータの利用範囲、AIの学習に使われない設定や契約になっているか、契約終了後の削除方法を確認しましょう。回答があいまいな会社は、候補から外すのが安全です。
チェック5. 自社で運用・改修できる状態まで引き継ぐ範囲に入っているか
支援が終わったあとに、自社だけで運用できるかどうかは、契約の範囲で決まります。
面談では、次の質問をそのまま聞いてみましょう。
- 契約が終わったあと、自社だけで運用を続けられますか
- 指示文や設定を自社で変更できる形で納品されますか
- 手順書と、担当者向けの説明の場は契約に含まれますか
- 作成した資料や仕組みの権利は、どちらに帰属しますか
- 支援を途中でやめる場合の条件と、引き継がれるものは何ですか
これらの質問に具体的に答えられる会社は、支援の終わり方まで設計しています。
AI導入支援に使える補助金・助成金【2026年10月時点】
AI導入支援の費用には、国の補助金や助成金を使える場合があります。以下は2026年10月時点の情報です。申請前に、公式ページで最新の要件を確認しましょう。
デジタル化・AI導入補助金2026|登録済みITツールの導入と付随する役務が対象
デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠は、ITツールの導入費用の一部を補助する制度です。補助率は1/2以内で、地域別最低賃金に近い賃金の従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合は2/3以内になります。
補助額は、対象とする業務プロセスの数によって、5万円以上150万円未満(1プロセス以上)と、150万円以上450万円以下(4プロセス以上)に分かれます。補助対象には、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)のほか、導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル設定・導入研修、保守サポートといった役務も含まれます。
通常枠の6次締切分は、締切日が2026年10月30日(金)17時です。締切回は順次更新されるため、公開時点で最新の締切回を公式サイトで確認しましょう。
出典・参考:デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト「通常枠」「事業スケジュール」(2026年10月6日閲覧) 通常枠の概要/事業スケジュール
この補助金は、事務局に登録されたITツールの導入が前提で、自社専用のAIを一から開発する費用は対象になりません。
対象になる経費の線引きと申請の流れは、デジタル化・AI導入補助金2026の解説記事で詳しく説明しています。
人材開発支援助成金|AI研修の経費と訓練中の賃金を助成
AI研修に使いやすいのが、厚生労働省の人材開発支援助成金です。このうち「事業展開等リスキリング支援コース」は、企業内のデジタル化・DX化を進めるにあたり、関連する業務に従事させるうえで必要な専門的な知識と技能を習得させる訓練を対象にしています。
対象になる訓練は、訓練時間数が10時間以上で、通常の業務と区別して行うOFF-JTであることが条件です。助成率と助成額は、制度上の企業区分によって次のように決まっています。
| 制度上の区分 | 経費助成 | 賃金助成(1人1時間) | 経費助成の限度額(10時間以上100時間未満・1人) |
|---|---|---|---|
| 中小企業(制度上の区分) | 75% | 1,000円 | 30万円 |
| 大企業 | 60% | 500円 | 20万円 |
受講者1人あたりの経費助成の限度額は訓練時間で変わり、中小企業の区分では100時間以上200時間未満が40万円、200時間以上が50万円です。eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成の対象外です。
出典・参考:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内」(令和8年4月8日版) 事業展開等リスキリング支援コースのリーフレット(PDF)/人材開発支援助成金の制度ページ
同じリーフレットによると、計画の書類は訓練開始日の6か月前から1か月前までに管轄の労働局へ提出します。支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内で、申請までに訓練にかかった経費を全額支払っておく必要があります。
助成金を使うなら、研修会社を決める段階で日程を逆算しましょう。
助成の対象になるかは、訓練の内容と労働局の審査で決まります。AI研修なら必ず助成されるわけではないため、最新の要件は公式ページで確認しましょう。
定額制の研修サービスを使う場合は、別メニューの「人への投資促進コース」も選択肢です。令和4〜8年度の期間限定の助成で、定額制訓練の経費助成率は、中小企業の区分で60%、大企業で45%です。
出典・参考:厚生労働省「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内」(令和8年4月8日版) 人への投資促進コースのリーフレット(PDF)
助成額の計算例|20時間の研修を5人が受ける場合


事業展開等リスキリング支援コースの助成額を、仮定の条件で計算してみます。訓練経費の金額は説明のための仮定で、助成率と賃金助成の額は前の項目で紹介したリーフレットの公式値です。
| 項目 | 条件 | 計算 | 助成額 |
|---|---|---|---|
| 経費助成 | 訓練経費は1人10万円(仮定)、受講者5人 | 10万円×75%×5人 | 37.5万円 |
| 賃金助成 | 訓練時間20時間、受講者5人 | 20時間×1,000円×5人 | 10万円 |
| 合計 | 中小企業の区分で、対面のOFF-JTの場合 | 47.5万円 |
1人あたりの経費助成は7.5万円で、限度額の30万円(10時間以上100時間未満)に収まります。同じ条件を大企業の区分で計算すると、経費助成が30万円、賃金助成が5万円で、合計35万円です。
リーフレットには、訓練時間30時間・訓練経費1人30万円・3人受講の場合に、経費助成が67.5万円、賃金助成が9万円になる計算例が載っています。上の表は、同じ式に仮定の数字を当てはめたものです。
実際の支給額は、審査の結果と訓練の実績で決まります。助成金は後払いのため、研修費はいったん全額を支払う前提で予算を組みましょう。
無料で相談できる公的窓口
有償の支援会社に依頼する前に、公的な無料相談を使う方法もあります。「よろず支援拠点」は国が設置している相談窓口で、47都道府県にあり、経営上のあらゆる相談に何度でも無料で対応しています。
出典・参考:よろず支援拠点全国本部「よろず支援拠点」(2026年10月6日閲覧) よろず支援拠点の公式サイト
よろず支援拠点はAI専門の窓口ではありません。課題の整理に使い、具体的な開発や研修は支援会社に相談する使い分けが現実的です。
AI導入支援に関するよくある質問
AIコンサルティングとAI導入支援は何が違いますか?
2つの言葉に公的な定義の違いはなく、会社によって使い方が異なります。本記事では、方針や計画づくりを中心とする支援をAIコンサルティング、研修・開発・定着までを含む広い支援をAI導入支援と整理しています。
名前で判断せず、本記事の4分類のどれにあたるかで比べましょう。
社内にAIに詳しい人がいなくても依頼できますか?
依頼できます。背景の章で紹介したとおり、専門人材の不足はAI導入・運用の課題として最も多く挙がっており、詳しい人がいない状態から始める企業は珍しくありません。
ただし、AIの知識は不要でも、業務を説明できる担当者と、導入を決められる決裁者は必要です。詳しい人がいない場合は、顧問型の支援から始めて、判断の材料をそろえましょう。
支援会社に任せきりでも成果は出ますか?
任せきりでは成果が出にくくなります。AIに任せる業務の手順や判断基準を知っているのは、支援会社ではなく自社の社員だからです。
背景の章で見たとおり、生成AIを利用していても組織的な取組がない企業は約3割あります。白書は、規模の小さい企業ではトップダウンの関与がキーポイントになるとも分析しています。経営層が目的を示し、現場の担当者が支援会社と一緒に手を動かす体制を作りましょう。
まとめ|AI導入支援会社は「支援範囲」と「終わり方」で選ぶ
AI導入支援は、顧問・研修・開発・内製化支援の4つに分けて考えると、依頼先を比べやすくなります。
IPAの「DX動向2026」では、AIを導入している企業は42.3%でした。導入・運用の課題は、専門人材の不足が50.1%、効果やリスクへの理解不足が45.8%、ルールや基準の作成の難しさが39.7%です。
総務省の令和8年版情報通信白書では、生成AIの活用に「組織的な取組はない」と回答した企業が27.0%ありました。
出発点は、対象業務が未定なら顧問、ツールが使われていないなら研修、自動化したい業務が決まっているなら開発、外注への依存を減らしたいなら内製化支援です。費用は月額ではなく、年間総費用で比べましょう。
AI研修には、要件を満たせば経費の75%(中小企業の区分)が助成される人材開発支援助成金があります。補助金・助成金は、最新の要件を公式ページで確認してから計画に組み込みましょう。
AI導入支援会社は「どの支援範囲を頼むか」と「何が終われば完了か」を決めてから選びましょう!
相談前の準備チェックリスト
支援会社に相談する前に、次の5つを準備しておくと、提案と見積もりの精度が上がります。
- 対象業務の候補を3つ書き出す
- 社内の担当者と決裁者を決める
- 頼みたい支援範囲を4分類から選ぶ
- 予算の上限と期間を決める
- AIに入力してよいデータの範囲を決める
株式会社Last Sceneは、業務の棚卸しから、AIエージェントの開発、運用の引き継ぎまでを一貫して伴走しています。作って終わりにせず、自社で使い続けられる状態にすることを重視しています。
「何から始めればよいか分からない」「どの支援範囲が合うのか判断できない」という段階でも相談できます。対象業務が決まっていない場合は、業務の整理から一緒に進めます。
費用の目安だけを知りたい場合や、他社の提案内容を比べたい場合も、お気軽にご相談ください。
業務に合わせたAIエージェントを開発
その業務、AIで自動化できるか無料で診断します
- AIを使いたいが、どの業務から手をつければいいか分からない
- PoC(試作・検証)で止まり、現場で使われるところまで進まない
- 社内にAIに詳しいエンジニアがいない



週1回の定例で動くものをお見せしながら、御社だけで運用できる状態まで伴走します。
「この作業は自動化できる?」の一問からご相談ください。
