AI時代に必要な2つの能力|課題発見力と言語化力
AI時代に本当に必要な能力とは
アメリカの大企業で大規模なレイオフが相次ぐ昨今、これは決して他人事ではなく、自分事として捉えて備えておくべき時代になっています。AIが登場する前は、プログラミングやデザインといった「スキル」を磨くことが何よりも重要でした。しかしAIが当たり前になった今、求められる能力は大きく変わってきています。
結論から言えば、AI時代に差をつけるために本当に重要なのは「課題発見能力」と「言語化能力」の2つです。本記事では、エンジニアとして2億円規模のプロダクトを生み出した経験をもとに、なぜこの2つの能力が重要なのか、そしてどう鍛えればいいのかを解説します。
AIで「作業」はほとんど自動化できる
まず前提として、いまのAIは本当に何でもできます。プログラミングで言えば、自分で書くよりもAIに書かせた方が速いケースが増えているほどです。採用業務でも、面接こそまだ人が担うことが多いものの、スカウト送信・求人作成・求人のアップロード・面倒なやり取りといった作業系の業務は、AIを使えばある程度まで自動化できます。
これはプログラミングや採用に限った話ではありません。ほとんどの業界・業種で、これまで「面倒だけどやるしかなかった」作業の多くは自動化が可能になっています。これまで事務やアルバイト、パートの方が担ってきた作業は、必ずしも必要な経費ではなくなりつつあるということです。
だからこそ、ただ作業をこなして対価を得てきた働き方は、これからの時代に厳しくなっていきます。作業そのものを頑張るより、「何の作業をすべきかを決められる人」「それを言葉に落とし込める人」の価値が一気に高まっていくのです。
1. 課題発見能力 ― 解くべき課題を見つける力
1つ目の重要な能力が課題発見能力です。AIによって「課題解決能力」の価値は相対的に下がってきています。プログラミングを例にすると、かつてはコードをいかに速く美しく書けるかという課題解決能力が決定的に重要でした。しかし、自分より速く書けるAIがいる今、問われるのは「そもそもこの機能は必要か」を判断する力です。
これはエンジニアやプロダクト開発に限らず、あらゆる業種に共通します。解決すべき課題さえ見つけられれば、あとはAIを使って自動化できるからです。
「何をすればいいかわからない」の正体
AI導入支援をしていると「導入したいけれど、具体的に何をすればいいかわからない」という相談を非常に多くいただきます。しかし、これは前提が逆になっています。本来は「解決したい課題があるから、それをAIで解決する」という順番のはず。だからこそ支援では、まず課題を一緒に棚卸しして見つけるところから入ることが多いのです。
組織でも個人でも、AIを活用するうえでは「自分は何を解決したいのか」「組織としてどんな課題があるのか」をきちんと言語化し、棚卸しすることが何より重要になります。
課題発見能力の鍛え方
では、課題発見能力はどう磨けばいいのか。実践しているのは、仕事中だけでなくプライベートも含めて「ちょっと不便だな」「これ嫌だな」「どうにかしたいな」と感じたことを、すぐ言語化してメモに残す習慣です。AIで解決できるかどうかは関係なく、とにかく課題に敏感になることが大切です。
実際、2年前に開発したスカウト自動化プロダクトも、この課題発見から生まれました。社内の社員が残業してまで学生にスカウトを送っている様子を見て「これはまずい」と気づき、開発に踏み切ったのです。結果として、このプロダクトは約2億円の売上につながりました。わかりやすい課題が目の前にあったからこそ実現できた成果です。
どの組織にも、こうした「意味のない作業」「自動化できそうな作業」は必ず存在します。まずは自分の周りを見渡し、課題を見つける癖をつけること。それをAIで解決しに行く思考になれば、活用は一気に進んでいきます。
2. 言語化能力 ― AIに正確に伝える力
2つ目の重要な能力が言語化能力です。課題を発見した次のステップは、AIに指示を出すこと。「こういう人がいて、こういう課題があり、それを解決したい」とAIに伝える必要があります。このときに問われるのが言語化能力です。
AIは、大きめの課題に対して一発で理想的なアウトプットを返してくれることはまずありません。だからこそ、何がダメで、何が良くて、どこが足りないからこう直してほしい、と根気強く細かく伝えながらチューニングしていく必要があります。この過程で言語化能力が乏しいと、なかなか前に進めません。
大げさではなく、小学校の国語ドリルをやり直すくらいの感覚で、国語力そのものを鍛えることが重要です。
言語化能力の鍛え方
言語化能力を高めるために実践しているのは、インプットとアウトプットの習慣です。映画やドラマを大量に観て、観終わった後には必ず感想文を書く。どんなストーリーで、誰が出ていて、自分はどこにどう感じたのかを細かく書き残し、メモに蓄積していきます。小説や本を読むことも好きで、とにかく量を読み、「自分は何を感じてそう思ったのか」を言葉にしていきます。
AIがあると、自分で深く考えなくても答えが出てしまいます。だからこそ今、本をしっかり読み、些細なことでも「自分はこう思う」と言語化して蓄積していくことが、これまで以上に大切になっているのです。
AIを活用して「早く帰る」ためのマインド
課題発見能力と言語化能力、この2つを持ったうえでAIを活用していくマインドがあれば、これからの時代は十分に戦えます。普段から「今やっているこの作業はAIで代替・自動化できないか」を常に考え、ほとんどの作業を減らすことに注力しています。
ポイントは、空いた時間に別の仕事を詰め込まないこと。それでは生産性は変わりません。AIを徹底的に活用して作業を減らし、働く時間そのものを短くして「早く帰る」ことを目的にする。そのために、課題発見能力と言語化能力を毎日鍛えるのです。
さらに付け加えるなら、これら2つの能力とAI活用のマインドに加えて、「素直でいいやつかどうか」も重要です。AIが作業を担うほど、オフラインでの人とのつながりの価値は高まっていきます。素直でいいやつであるかを自分に問いかけながら過ごすことが、これからの時代を生き抜くうえで大切になるはずです。
まとめ
AI時代に差をつけるために必要なのは、コードを速く書くようなスキルではなく、次の2つの能力です。
1つ目は、解くべき課題を見つける「課題発見能力」。日常の不便や違和感をメモに残し、課題に敏感になることで鍛えられます。2つ目は、AIに正確に意図を伝える「言語化能力」。本や映画から得たインプットを言葉にして蓄積することで磨かれていきます。この2つを土台にAIを活用すれば、作業時間を減らし、本当に価値のある仕事に集中できるようになります。
「AIを導入したいけれど、何から始めればいいかわからない」という方は、まず課題の棚卸しから始めるのがおすすめです。プライム上場企業から一人会社まで幅広く支援してきた経験をもとに、課題の棚卸しからご一緒します。お気軽にご相談ください。
