アプリ開発に使える補助金3制度|対象要件・申請手順・採択率を上げるコツ【2026年8月時点】

アプリ開発の費用は、補助金を使えば半分から3分の2が戻る可能性があります。
この記事では2026年8月時点の公募要領に基づき、アプリ開発に使える3つの制度と、対象になる開発・ならない開発の線引き、申請手順までを解説します。
制度によっては、オーダーメイドのアプリ開発はそもそも申請できません!
本記事は2026年8月時点で公開されている公募要領に基づいています。
補助金の要件は公募回ごとに変わるため、申請前には必ず各制度の最新の公募要領をご確認ください。
アプリ開発で補助金は使えるのか?基本を押さえる

アプリ開発に補助金は使えます。
ただし制度によって、対象になる開発とならない開発がはっきり分かれます。
最初に押さえるべきは、オーダーメイドで作るアプリと、既製サービスを導入するアプリで使える制度が違うという点です。
ここを取り違えると、申請そのものができません。
補助金と助成金の違い
補助金と助成金は、どちらも返済不要である点は同じです。
違いは、受け取れるかどうかが審査で決まるかどうかにあります。補助金は、予算と採択件数に限りがあります。申請しても審査で採択されなければ、1円も受け取れません。助成金は、定められた要件を満たしていれば原則として受給できます。
主に厚生労働省が所管する雇用関連の制度が該当します。
もうひとつ重要な共通点が、支払いのタイミングです。
先に事業者が費用を全額支払い、事業完了後に実績を報告してから補助金が振り込まれる方式のことです。
補助金は原則この方式のため、開発費をいったん自社で立て替える必要があります。
つまり「補助金があるから資金がなくても開発できる」わけではありません。
開発費の全額を支払える資金を用意したうえで、後から一部が戻ってくると考えてください。
アプリ開発が補助金の対象になる条件
共通する条件が4つあります。
1つ目は、アプリが補助事業専用であること。
既存事業と共用するシステムは対象外か按分計上です。
2つ目は、既存システムの単なる置き換えでないこと。
公募要領には「既存の機械装置・システム等の単なる置き換えに係る経費は対象外です」と明記されています。
3つ目は、自社の人件費が対象外であること。
社内エンジニアの工数は補助されず、外部発注が前提です。
4つ目は、制度によっては事前登録されたツールしか対象にならないこと。
この違いは後述のデジタル化・AI導入補助金で効いてきます。
アプリ開発に使える補助金3制度|比較一覧表

2026年8月時点でアプリ開発に使える国の制度は、次の3つです。
| 制度名 | 補助率 | 補助上限額 | オーダーメイド開発 |
|---|---|---|---|
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 1/2または2/3 | 750万〜9,000万円(枠・従業員数による) | 対象になる |
| デジタル化・AI導入補助金(通常枠) | 1/2以内(条件により2/3以内) | 5万〜450万円 | 対象にならない |
| 小規模事業者持続化補助金(第20回) | 2/3(条件により3/4) | 最大250万円(うちアプリ開発分は30万円まで) | 対象になる |
なお、従来の「ものづくり補助金」と「中小企業新事業進出補助金」は、2026年6月に統合されて「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」になりました。
古い記事では別々の制度として紹介されていることがあるため、注意してください。
引用元:中小企業庁「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領を公開しました」 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260630002.html
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新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
アプリ開発で最も大きな金額を狙えるのがこの制度です。
補助対象経費に、専用ソフトウェアや情報システムの構築が明記されています。
3つの枠と対象要件・補助率・上限額


この補助金には3つの枠があります。
| 枠 | 概要 | 補助率 | 補助下限額 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービス開発の取組を支援 | 中小企業者1/2(2/3)、小規模企業・小規模事業者・再生事業者2/3 | 100万円 |
| 新事業進出枠 | 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援 | 中小企業者1/2(2/3) | 750万円 |
| グローバル枠 | 海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化を支援 | 中小企業者2/3 | 750万円 |
補助上限額は従業員数によって変わります。
カッコ内は賃上げ特例を適用した場合の金額です。
| 従業員数 | 革新的新製品・サービス枠 | 新事業進出枠・グローバル枠 |
|---|---|---|
| 1〜5人 | 750万円(850万円) | 2,500万円(3,000万円) |
| 6〜20人 | 1,000万円(1,250万円) | 2,500万円(3,000万円) |
| 21〜50人 | 1,500万円(2,500万円) | 4,000万円(5,000万円) |
| 51〜100人 | 2,500万円(3,500万円) | 5,500万円(7,000万円) |
| 101人以上 | 2,500万円(3,500万円) | 7,000万円(9,000万円) |
注意したいのが補助下限額です。新事業進出枠とグローバル枠は下限750万円のため、それ未満の規模では使えません。
第1回公募のスケジュールは次のとおりです。
- 公募開始:令和8年6月29日(月)
- 申請受付:令和8年9月30日(水)
- 申請締切:令和8年10月30日(金)18:00
- 補助金交付候補者の採択発表:令和9年1月頃(予定)
応募は1公募1申請で、議決権の50%超を持つ親会社の子会社などの「みなし同一事業者」もまとめて1申請です。
申請締切日から16か月以内に事業再構築補助金、新事業進出補助金、ものづくり補助金などの交付候補者に採択された事業者も対象外です。
引用元:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(1.1版・令和8年7月/独立行政法人中小企業基盤整備機構) https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/
アプリ開発での活用ポイント


アプリ開発費は「機械装置・システム構築費」に計上します。公募要領はこの区分を「専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入、構築、借用に要する経費」と定めています。
実務条件が3つ
1つ目は、100万円(税抜)以上のシステム構築費には、実績報告時に要件定義書または開発費用算出資料が必要になることです。作業単価・工数・作業時間・担当者の勤務記録まで求められるため、「一式500万円」の見積書では通りません。
2つ目は、PR用ウェブサイトの経費が「広告宣伝・販売促進費」になることです。アプリ本体の開発費とは分けて計上します。
3つ目は、革新的新製品・サービス枠の考え方です。公募要領には「単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません」と明記されており、業務効率化だけが目的の計画は通りません。
申請前に必要な手続きが2つ
- GビズIDプライムアカウントの取得(発行に1週間程度かかります)
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表(「両立支援のひろば」への掲載に1〜2週間程度かかります)
どちらも必須要件で、遅れによる申請期限の延長は認められません。
引用元:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(1.1版・令和8年7月/独立行政法人中小企業基盤整備機構) https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
従来のIT導入補助金は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。
正式名称は中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金です。
対象要件と補助率・上限額
通常枠の条件は次のとおりです。
- 補助率:1/2以内(最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上の場合は2/3以内)
- 補助額:1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下
申請枠は、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つです。
対象となるソフトウェアは、顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収管理、供給・在庫・物流、会計・財務・経営、総務・人事・給与などの業務プロセスを含むものに限られます。
汎用プロセスのみのツールは対象外です。
引用元:デジタル化・AI導入補助金2026「通常枠」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/
スマホアプリは対象になるか?2026年の最新状況
自社専用にゼロから開発するスマホアプリは対象になりません。この補助金の対象ツールは登録制で、事前に事務局の審査を受けたITツールだけが対象になるためです。
対象は、登録済みのアプリ型クラウドサービスやパッケージソフトの導入です。予約管理や勤怠管理のアプリを既製品で導入するなら使えます。
引用元:デジタル化・AI導入補助金2026「制度概要」 https://it-shien.smrj.go.jp/about/
小規模事業者持続化補助金
従業員数の少ない事業者が使える制度です。
金額は小さいものの、審査のハードルは前述の2制度より低い部類に入ります。
対象要件と補助率・上限額
第20回公募の条件は次のとおりです。
- 補助率:2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
- 補助上限:50万円。インボイス特例で50万円上乗せ、賃金引上げ特例で150万円上乗せ、両方の要件を満たす場合は200万円上乗せ
- 対象者:常時使用する従業員が5人以下(卸売業・小売業・サービス業)、または20人以下(製造業その他)の小規模事業者
スケジュールは、申請受付開始が2026年11月5日、締切が2026年12月15日17時です。
採択発表は2027年3月頃が予定されています。
注意が必要なのが、事業支援計画書(様式4)の発行受付締切が2026年12月4日である点です。
これは商工会・商工会議所に発行してもらう書類で、公募要領には「受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません」と記載されています。
引用元:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)」公募要領 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260527002.html
少額のアプリ開発に向いている理由


アプリ開発費は「ウェブサイト関連費」に計上します。
ただし、この区分には2つの制限があります。
- ウェブサイト関連費のみによる申請はできない。必ず他の経費と一緒に申請する必要がある
- この経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)
つまり補助上限が250万円でも、アプリ開発に充てられるのは30万円までです。



補助上限250万円でも、アプリ開発に使えるのは30万円までです!
地方自治体の補助金・助成金
国の制度以外に、都道府県や市区町村が独自に実施している制度があります。
国の制度より助成率や上限額が有利なケースもあるため、必ず確認してください。
東京都などの主要な制度例
東京都は令和8年度の新規事業として「DX推進トータルサポート事業」を実施しています。
デジタル戦略やAI活用計画へのアドバイザー支援から、デジタル技術・設備・システムの導入経費の助成までを一体で行う事業です。
ただし、令和8年度の申請期間は4月6日から5月8日で、すでに終了しています。
本記事の執筆時点で新規に申請することはできません。
引用元:東京都「都内中小企業のDX推進とAI活用支援」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/03/2026033061
自治体補助金の探し方
自治体の制度を横断的に探すなら、次の2つを使ってください。
ミラサポplus(中小企業庁):補助金・支援制度の検索と、申請事例の閲覧ができます
J-Net21(中小企業基盤整備機構):都道府県別に支援制度を検索できます。
加えて、自社の所在地の商工会・商工会議所に直接相談する方法が確実です。
持続化補助金の事業支援計画書の発行元でもあるため、どのみち関わることになります。
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補助金申請の手順|5つのステップ


補助金申請は、次の5ステップで進みます。
- 情報収集と制度の選定
- 事業計画書の作成
- 電子申請
- 採択・交付決定
- 事業実施と実績報告
STEP1〜2. 情報収集・事業計画書の作成
最初にやるべきは、GビズIDプライムアカウントの取得です。
発行に1週間程度かかり、遅れによる期限延長は認められません。制度を選んだ時点で並行して進めてください。
制度の選定は上限額ではなく対象要件から見ます。従業員数、業種、補助下限額、アプリが新製品・新サービスの開発にあたるかで絞られます。
事業計画書は審査項目に沿って書きます。書面審査では次の観点が示されています。
- 補助対象事業としての適格性(経費が事業目的の達成のために真に必要かつ合理的な額か)
- 経営戦略との整合性(過去の取組との一貫性、強み・弱みを踏まえた競争優位性)
- 事業の実現可能性(付加価値・賃上げの目標値、遂行体制、顧客ターゲットの明確性、資金調達の見込み)
- 公的補助の必要性(経済波及効果、費用対効果、国の補助がなくとも自社単独で容易に実施できるものではないか)
- 政策面(市場の成長が見込まれる分野への進出、地域への経済的波及効果)
引用元:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(1.1版・令和8年7月/独立行政法人中小企業基盤整備機構) https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/
STEP3〜5. 申請・採択・事業実施・報告
電子申請後は審査に入ります。基準を満たした事業者には、必要に応じて口頭審査が実施されます。
オンラインで1事業者15分程度、カメラをオンにして行われ、音声は録音されます。
口頭審査は申請事業者自身(法人代表者等)が対応し、支援者やコンサルタント、社外顧問の同席は一切認められません。同席が確認された場合や、対象になったのに受験しなかった場合は不採択となることがあります。
期限と禁止事項
- 事務局が実施する採択者向けオンライン説明会への参加が義務。参加しない場合は説明会最終開催日をもって採択が自動的に無効になる
- 交付申請は、原則として採択発表日から遅くとも2か月後の日までに実施する必要がある。期限までに申請がなければ採択取消
- 交付決定前に、採択された事業計画を変更することはいかなる理由でも認められない
採択はゴールではなく、期限付きの手続きの入口です!
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補助金申請で失敗しないための注意点


採択率を上げる書き方と、専門家に頼む際の注意点を整理します。
採択率を高める事業計画書の書き方
審査項目に沿うのが最短です。特に押さえたい3点を挙げます。
1つ目:数値目標の実現可能性
審査項目には「高い付加価値の創出や賃上げを実現する目標値が設定されており、かつその目標値の実現可能性が高い事業計画となっているか」とあります。
2つ目:選ばれる理由の整理
価値、顧客ターゲットの明確性、ニーズの裏付けが問われるため、機能を並べるのではなく、誰のどの課題を解決し、なぜ既存の手段より優れているのかを書きます。
3つ目:公的補助の必要性
「国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないか」が見られます。
なお、新事業進出枠の新規性は「補助事業に取り組む中小企業等にとっての新規性」であり、日本初・世界初である必要はありません。
書類の要件を満たすだけで加点される項目
- パートナーシップ構築宣言(ポータルサイトで宣言を公表している事業者)
- くるみん加点(トライくるみん、くるみん、プラチナくるみんのいずれかの認定)
- えるぼし加点
引用元:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(1.1版・令和8年7月/独立行政法人中小企業基盤整備機構) https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/
申請代行・認定支援機関の活用
事業計画書の作成は専門家に依頼できます。費用相場は着手金0〜15万円に成功報酬が採択額の5〜15%、ものづくり系では着手金5万〜10万円・成功報酬10〜20%という水準も見られます。
依頼先は、国が認定した認定経営革新等支援機関かどうかを確認してください。
ただし、すべてを外部に任せることはできません。
公募要領には、支援を受ける場合の義務が明記
- 「事業計画作成支援者名」「支援内容」「報酬(予定)額」「契約期間」の入力が必要。支援を受けているにもかかわらず入力がない場合は、不採択・採択取消・交付決定取消となる
- 口頭審査は申請事業者自身が対応する必要があり、支援者の同席は認められない
- 事業計画書の作成支援者に対する経費は、専門家経費の対象外
申請代行の費用は補助金では賄えず、自己負担です。
事業計画の策定支援は、よろず支援拠点などの公的支援機関でも相談できます。
引用元:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(1.1版・令和8年7月/独立行政法人中小企業基盤整備機構) https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/
まとめ|補助金を賢く活用してアプリ開発のコストを抑える
この記事の要点を整理します。
- アプリ開発に使える国の制度は、2026年8月時点で3つ
- オーダーメイド開発が対象になるのは、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金と小規模事業者持続化補助金の2つ
- デジタル化・AI導入補助金は登録済みITツールが対象のため、ゼロから作るアプリには使えない
- 持続化補助金は補助上限250万円でも、アプリ開発に充てられるのは30万円まで
- 新事業進出枠・グローバル枠は補助下限額が750万円のため、小規模な開発では使えない
- 補助金は精算払い。開発費は一度全額を立て替える必要がある
- 自社の人件費は対象外のため、外注が前提になる
自社に最適な補助金の選び方フローチャート
次の順で判断してください。
- 既製のアプリ型サービスで要件を満たせるか。満たせるならデジタル化・AI導入補助金(補助率1/2以内、最大450万円)
- オーダーメイド開発が必要で、従業員が5人以下(製造業その他は20人以下)か。該当するなら小規模事業者持続化補助金(ただしアプリ開発分は30万円まで)
- オーダーメイド開発が必要で、新製品・新サービスの開発を伴うか。該当するなら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の革新的新製品・サービス枠(補助下限額100万円)
- 既存事業とは異なる新市場へ進出する事業で、補助金額が750万円以上になるか。該当するなら同補助金の新事業進出枠
制度が決まったら、まずGビズIDプライムアカウントの取得と一般事業主行動計画の公表、そして地域の商工会・商工会議所への相談から始めてください。
そのうえで、工数の内訳まで分解した見積書を出せる開発会社を選ぶことが、実績報告まで含めた成否を分けます。
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