AIエージェントの選び方|SaaS・ノーコード・個別開発の3類型を費用と自由度で比較

「AIエージェント 比較」で調べると、製品名が何十も並んだ一覧表が見つかります。ところが、契約すればすぐ使える完成品のサービス、自社で組み立てる構築基盤、開発の材料になるAPIが同じ表に混ざっていて、横に並べても比べられません。
業務の自動化を任されたものの、どのサービスを契約するのか、それとも開発を依頼するのかを決めきれない責任者や担当者は少なくありません。
この記事では、AIエージェントをSaaS型・ノーコード型・個別開発の3類型に分け、課金単位の違い、3年間の総費用の計算方法、自由度の差、4つの質問による選び方を解説します。製品のランキングではなく、自社に合う類型を決めるための判断材料をまとめたので、比較検討にお役立てください。
AIエージェントは製品名より先に、SaaS型・ノーコード型・個別開発のどれに当たるかを決めると比較しやすくなります!
まず、3類型の違いを一覧で示します。
比較項目 | SaaS型 | ノーコード型 | 個別開発 |
|---|---|---|---|
概要 | 完成済みのエージェントを契約して使う | 構築基盤の上で自社が組み立てる | 自社の業務とシステムに合わせて作る |
初期費用 | 設定が中心。導入支援を頼む場合は別見積もり | 構築する人の工数(社内または外注) | 単一業務の自動化で50万〜300万円(概算) |
月額費用の課金単位 | ユーザー数、会話数・処理数 | 基盤の利用料+クレジット・実行回数 | API利用料+サーバー費+保守費 |
自由度 | 提供元が用意した機能の範囲 | 基盤が対応する連携・部品の範囲 | 連携先・承認フロー・画面まで決められる |
向いているケース | 標準的な業務を早く始めたい | 社内に作って直せる担当者がいる | 自社固有の手順や複数システムの連携がある |
個別開発の金額は、人月単価80万円を仮定した本記事独自の概算で、確定見積もりではありません。API利用料・ツール利用料・サーバー費・保守費・消費税は含みません。
SaaS型とノーコード型の初期費用は、製品と契約条件、導入を誰が担うかによって変わるため、金額を示していません。類型別の費用をまとめた公的な統計も見当たらないので、検討の出発点としてお使いください。
3類型は本記事での整理です。1つの製品が複数の類型にまたがる場合もあります。
AIエージェントの3類型とは|SaaS型・ノーコード型・個別開発の違い
AIエージェントの提供形態は、完成品を契約するSaaS型、構築基盤の上で自社が組み立てるノーコード型、自社向けに作る個別開発の3つに分けられます。まず言葉の定義をそろえ、類型ごとの違いを確認します。例に挙げる製品の公式ページは、次の章で料金体系とあわせて示します。

AIエージェントの定義と、比較の前にそろえる前提
総務省と経済産業省が2026年3月に公表した「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AIエージェントを次のように定義しています。
「特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動するAIシステム」。自律については、高度な自律状態だけでなく、ある程度の自律性を持つものも含むと注記されています。
出典・参考:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日) AI事業者ガイドラインの掲載ページ/本編(PDF)
この定義は幅が広いため、質問に答えるだけの機能から、複数のシステムを操作して業務を進める仕組みまでが「AIエージェント」と呼ばれています。比較を始める前に、どの業務の、どこからどこまでを任せたいのかを決めておきましょう。
SaaS型|完成済みのエージェントを契約して使う
SaaS型は、提供元が完成させたエージェントやエージェント機能を、月額または従量の料金で契約して使う形です。例として、Salesforceの「Agentforce」、Microsoftの「Microsoft 365 Copilot」があります。
すでに使っている業務ソフトにエージェント機能が追加される形も、本記事ではSaaS型に含めます。
自社で作る作業は少なく、設定と社内への展開が中心です。その代わり、できることは提供元が用意した機能の範囲に限られます。
ノーコード型|構築基盤の上で自社がエージェントを組み立てる
本記事では、画面上の設定を中心にエージェントを組み立てる構築基盤を、ノーコード型と呼びます。例として、Microsoftの「Copilot Studio」、「Dify」、「n8n」があります。
基盤そのものは契約して使いますが、何をどの順番で処理させるかを決めて組み立て、動かし続けるのは自社です。完成品を買うSaaS型との違いは、この「作る人と直す人が社内に必要になる」点にあります。
個別開発|自社の業務とシステムに合わせて作る
個別開発は、開発会社または自社のエンジニアが、大規模言語モデル(LLM)のAPIや実行基盤を材料にして、自社専用のエージェントを作る形です。材料の例として、Anthropicの「Claude」のAPI、OpenAIのAPI、AWSの「Amazon Bedrock AgentCore」があります。
これらは完成品のエージェントではなく、開発の材料です。比較表でSaaS型の製品と同じ列に並んでいても、そのまま業務に使えるわけではありません。
連携するシステム、人が承認する位置、担当者が使う画面まで決められる一方で、初期の開発費と期間、動き始めた後の保守が必要です。
経済産業省の契約チェックリストに当てはめると
経済産業省が2025年2月に公表した「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」は、AI関連サービスのユースケースを「類型1:汎用的AIサービス利用型」「類型2:カスタマイズ型」「類型3:新規開発型」の3つに分けています。類型2は、汎用的AIサービスに付加的な機能を組み合わせたものと説明されています。
契約の形としては、開発を伴わず既存のAIサービスを利用する「利用型契約」と、ソフトウェアやシステムなどの開発を伴う「開発型契約」が想定されています。
出典・参考:経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(2025年2月) 公表ページ/チェックリスト本体(PDF)
本記事の3類型を、この契約の形に当てはめると次のようになります。

本記事の類型 | 近い契約の形 | 契約前に読む書類 |
|---|---|---|
SaaS型 | 利用型契約(類型1に近い) | 利用規約、料金ページ |
ノーコード型 | 基盤は利用型契約で使い、組み立ては自社が担う | 基盤の利用規約、料金ページ |
個別開発 | 開発型契約(類型2・類型3に当たる) | 見積書、契約書、成果物と検収の条件 |
この対応づけは本記事の整理です。チェックリストが「SaaS型」「ノーコード型」「個別開発」という名前で類型を定めているわけではありません。
類型が違えば、比べる書類も利用規約と料金ページなのか、見積書と契約書なのかが変わります。
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3類型を費用で比較|課金単位と3年間の総費用【2026年10月時点】
3類型は、金額の前に料金の「単位」が違います。ここでは類型ごとの課金単位を確認し、最後に同じ式で3年間の総費用を比べます。

各社の料金は、2026年10月6日に公式ページで確認した内容を、料金体系の例として示すものです。製品の優劣を示すものではありません。価格とプランは変わるため、契約前に必ず公式ページで確認しましょう。
SaaS型の料金体系|ユーザー数課金と従量課金
SaaS型の料金は、利用する人数に応じて月額が決まるユーザー数課金と、会話の件数や処理量に応じて決まる従量課金に大きく分かれます。
サービス例 | 課金単位 | 公式ページの表示(2026年10月6日確認) |
|---|---|---|
Agentforce(Salesforce) | 会話1件あたり、またはクレジットの消費量 | 会話1件あたり240円。Flex Creditsは100,000クレジットあたり60,000円(日本円表示) |
Microsoft 365 Copilot(Microsoft) | 1ユーザーあたりの月額 | 1ユーザーあたりの月額をプランごとに表示 |
出典・参考:Salesforce「Agentforceの価格」 Agentforceの価格ページ/Microsoft「Microsoft 365 Copilot」 料金ページ(いずれも2026年10月6日確認)
Agentforceの金額が税込か税抜かと、Microsoft 365 Copilotで自社が契約できるプランは、公式ページで確認しましょう。
ユーザー数課金は利用する人数、従量課金は会話や処理の件数で月額が動きます。利用する人数と対象業務の月間件数を、先に数えておきましょう。
初期費用は、設定と社内への展開の手間が中心で、支援を外部に頼む場合は別の見積もりになります。
ツールの導入費用に使える制度を調べたい方は、デジタル化・AI導入補助金2026の解説記事もあわせて確認しましょう。
ノーコード型の料金体系|基盤の利用料と、構築・保守の工数
ノーコード型の費用は、基盤の利用料と、組み立てて直し続ける人の工数の2つでできています。基盤の利用料は、課金単位が基盤ごとに違います。
基盤の例 | 課金単位 | 公式ページの表示(2026年10月6日確認) |
|---|---|---|
Copilot Studio(Microsoft) | クレジットのパック(テナント全体用のライセンス) | 25,000 Copilot クレジットを含む1パックが月額29,985円(消費税を含まない価格)。使った分だけ支払う従量課金制もある |
Dify(クラウド版) | ワークスペース単位。プランごとに月間のメッセージクレジット枠とメンバー数の上限がある | Professionalプランは1ワークスペースあたり年額590米ドル |
n8n(クラウド版) | 月間のワークフロー実行回数 | Starterプランは年払いで月額20ユーロ |
出典・参考:Microsoft「Copilot Studio の価格」 Copilot Studio の価格ページ/Dify Plans & Pricing・セルフホストの手順/n8n Plans and Pricing(いずれも2026年10月6日確認)
日本円・米ドル・ユーロと通貨が分かれているため、本記事では円に換算していません。
基盤の利用料より見落としやすいのが、社内の工数です。エージェントを組み立てる時間と、連携先の変更や回答のずれに合わせて直す時間は、請求書には出てきませんが費用にあたります。
Difyとn8nには、自社のサーバーに置いて動かすセルフホストの形もあります。この形を選ぶ場合は、サーバーの費用と、更新や障害対応などの運用の工数も自社の負担になります。
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個別開発の費用|初期開発費と、API・サーバー・保守の月額
個別開発の費用は、最初にかかる初期開発費と、動かし続けるための月額費用に分かれます。初期開発費の目安は、作るものの種類によって次のように変わります。
作るものの種類 | 初期開発費(概算) | 開発期間の目安 |
|---|---|---|
単一業務の自動化 | 50万〜300万円 | 1〜3か月 |
社内ナレッジ検索 | 200万〜800万円 | 2〜5か月 |
複数ツールを横断する自動化 | 300万〜1,500万円 | 3〜8か月 |
マルチエージェント・基幹システム連携 | 1,000万円〜 | 6か月〜 |
この表は、人月単価80万円を仮定した本記事独自の初期開発費の概算です。市場全体の平均価格や、確定見積もりを示すものではありません。
API利用料・ツール利用料・サーバー費・保守費・消費税は含みません。
月額費用は、LLMのAPI利用料、サーバーなどの実行環境の費用、保守・改善の費用の3つです。ClaudeのAPIとOpenAIのAPIは、入力と出力のトークン量に応じた従量課金です。
Amazon Bedrock AgentCoreのような実行基盤も、使った分だけ支払う従量課金です。モデルの利用料のほかに、組み込みツールの利用に別の料金がかかる場合もあります。
出典・参考:Anthropic Claude 料金/OpenAI API Pricing/AWS Amazon Bedrock AgentCore の料金(いずれも2026年10月6日確認)
費用の内訳、試作(PoC)から運用までの段階別の費用、見積書の読み方は、AIエージェント開発の費用相場を解説した記事にまとめています。
3年間の総費用の計算例|自社の条件で3類型を比べる式
課金単位が違う3類型は、期間を3年間(36か月)にそろえた総費用に直すと比べられます。
3年間の総費用 = 初期費用 + 月額費用 × 36か月 + 社内の構築・保守工数 × 時間単価

以下の数字は、式の使い方を示すための仮定です。特定の製品の価格でも、相場でもありません。社内の時間単価は、3類型とも1時間3,000円と仮定します。
類型 | 条件(すべて仮定) | 3年間の総費用(仮定での計算) |
|---|---|---|
SaaS型 | 1ユーザー月額4,500円×20人=月9万円。初期設定は自社で行い0円 | 9万円×36か月=324万円 |
ノーコード型 | 構築に社内で80時間(24万円)。月額は基盤の利用料3万円+社内の保守10時間(3万円)=月6万円 | 24万円+6万円×36か月=240万円 |
個別開発 | 初期開発費300万円。月額はAPI利用料2万円+サーバー費1万円+保守・改善15万円=月18万円 | 300万円+18万円×36か月=948万円 |
この計算には、消費税、為替の変動、料金の改定、別契約で行う試作の費用は含めていません。従量課金のサービスは、件数が増えると月額が変わる点にも注意しましょう。
総費用が小さい類型が得とは限りません。類型によって、任せられる業務の範囲と、減らせる作業時間が違うからです。
3年間の効果 = 減らせる作業時間(月)× 時間単価 × 36か月 − 3年間の総費用
時間単価を3,000円と仮定すると、月に1時間の削減は3年間で10万8,000円にあたります。上の総費用をこの金額で割ると、費用と釣り合う削減時間は、SaaS型が月30時間、ノーコード型が月約22時間、個別開発が月約88時間です。
個別開発は初期費用が大きい分、釣り合うために必要な削減時間も大きくなります。一方で、自社固有の手順や複数のシステムにまたがる業務まで対象にできるため、減らせる時間そのものも変わります。
たとえば月100時間の作業を減らせると仮定すると、100時間×3,000円×36か月=1,080万円です。総費用の948万円を引いても、132万円が残る計算になります。
金額が小さいSaaS型でも、自社の手順に合わず削減時間が月30時間を下回れば、この仮定では費用のほうが大きくなります。総費用と削減時間は、必ずセットで比べましょう。
月額の安さではなく、3年間で減らせる時間から逆算して類型を選びましょう!
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3類型を自由度で比較|連携・承認フロー・データの扱い
費用の次に差が出るのが自由度です。ここでは、連携できる範囲、承認フロー、データの扱い、乗り換えやすさの4つの観点で比べます。

連携できるシステムの範囲
どのシステムとつなげられるかは、類型によって違います。
SaaS型は、提供元が用意した連携先と機能の範囲で使います。自社で使っている業務ソフトが連携先に含まれているかを、契約前に公式ページで確認しましょう。
ノーコード型は、基盤が対応している連携部品を組み合わせます。部品が用意されていないシステムとつなぐには、別途の開発が必要になる場合があります。
個別開発は、連携先を要件として最初に決めます。自社独自のシステムや、ファイルでやり取りしている業務も、設計の対象に含められます。
業務フローと人の承認をどこまで作り込めるか
AIエージェントは、文章を返すだけでなく、登録や送信といった操作まで行います。そのため、どの操作の前に人が確認するのかという承認の位置が、設計の中心になります。
AI事業者ガイドライン(第1.2版)は、公平性に関する記述のなかで「AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討する」としています。AIエージェントだけに向けた記述ではありませんが、承認の位置を決めるときの考え方として参考になります。
出典・参考:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日) 本編(PDF)
SaaS型では、承認の入れ方は提供元が用意した設定の範囲で決まります。ノーコード型では、基盤の部品で承認の手順を組めるかどうかを、試用の段階で確かめましょう。
個別開発では、金額や取引先といった条件ごとに、自動で進める処理と人に回す処理を分けられます。
株式会社Last Sceneの支援先の経理業務では、未仕訳の取引をAIが4段階に振り分け、判断が必要な取引だけを担当者に1件ずつ確認する流れにしています。自由度の差がもっとも表れるのは、こうした「どこで人が確認するか」の作り込みです。
入力したデータの保存先と学習利用の条件
SaaS型と、ノーコード型のクラウド版では、入力したデータは提供元の環境で処理されます。保存される場所と期間、AIの学習に使われるかどうかは、利用規約で決まります。
経済産業省の契約チェックリストは、利用型契約の確認項目に「インプットの利用目的が定められているか」を挙げています。提供元が自社の学習にデータを使う定めがある場合は、その利用を受け入れられるかを慎重に判断するよう求めています。
個人情報保護委員会も、生成AIサービスに個人データを入力する場合は、提供元がそのデータを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう注意喚起しています。
出典・参考:経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(2025年2月) チェックリスト本体(PDF)/個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年6月2日) 注意喚起のページ
個別開発では、どのLLMのAPIを使い、データをどこに保存するかを設計の段階で選べます。ただし、APIの提供元の利用規約を確認する必要がある点は、ほかの類型と同じです。
乗り換えと引き継ぎのしやすさ
SaaS型は、料金と利用規約を提供元が改定します。設定した内容と蓄積したデータを持ち出せるかを、契約前に確認しましょう。
ノーコード型で作った仕組みは、その基盤の上で動きます。別の基盤にそのまま移せるとは限らないため、処理の手順を文書に残しておくと、作り直すときの材料になります。
セルフホストできる基盤は、利用条件も確認が必要です。たとえばDifyは、Apache License 2.0に条件を加えたライセンスで公開されており、書面の許可なくマルチテナント環境を運用する場合や、ロゴ・著作権表示を削除または変更する場合は、商用ライセンスが必要とされています。
出典・参考:Dify LICENSE(GitHub)(2026年10月6日確認)
個別開発では、ソースコードや設計書を誰が持つのか、利用するクラウドやAPIのアカウントを誰の名義で契約するのかを、契約の段階で決めます。
自社に合う類型の選び方|4つの質問で決める
費用と自由度の違いを踏まえて、自社に合う類型を4つの質問で絞り込みます。対象にする業務を1つ決めてから、順番に答えていきましょう。

質問1. 対象業務は標準的か、自社固有の手順が多いか
最初に見るのは、対象業務の「固有度」です。どの会社でもほぼ同じ手順で行う業務は、完成品のSaaS型が合いやすくなります。
反対に、取引先ごとに例外の扱いがある、複数のシステムを行き来する、自社独自の帳票を使うといった業務は、SaaS型の機能に収まりにくくなります。この場合は、ノーコード型か個別開発が候補です。
固有度は、業務の手順を書き出し、「この場合だけは別の対応をする」という例外の数で判断します。例外が多いほど、承認や分岐を作り込める類型が必要になります。
質問2. いま使っている業務ソフトにAIエージェント機能があるか
新しい製品を探す前に、いま契約している業務ソフトを確認しましょう。エージェント機能が追加されていたり、追加の契約で使えるようになっていたりする場合があります。
たとえばMicrosoftは、Copilot Studioの価格ページで「Microsoft 365 Copilot には、組織内で使用できるエージェント構築機能が含まれています」と説明しています。
出典・参考:Microsoft「Copilot Studio の価格」 Copilot Studio の価格ページ(2026年10月6日確認)
追加の契約をする前に、契約中のプランで使える機能と、追加料金の有無を確認しましょう。
質問3. 社内に作って直せる担当者がいるか
ノーコード型は、組み立てる人と、動き始めた後に直す人が社内にいることが前提です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2026年7月に公表した「DX動向2026」によると、AI導入・運用上の課題は「専門人材が不足している」が50.1%で最も高くなっています。
出典・参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」(2026年7月) DX動向2026(報告書ページ)
担当者を置けない場合は、設定の少ないSaaS型を選ぶか、構築と保守を外部に頼む形が現実的です。
外部に頼む場合の依頼先の種類は、AI導入支援会社の選び方を解説した記事で、顧問・研修・開発・内製化支援に分けて整理しています。
質問4. 3年間で減らせる作業時間は、総費用に見合うか
最後に、候補に残った類型について、減らせる作業時間と3年間の総費用を比べます。減らせる時間は「1件あたりの作業時間×月間の件数」で見積もり、計算例の「費用と釣り合う削減時間」と比べます。
すべての作業時間がなくなるわけではなく、人が確認する時間は残ります。AIに任せた後に残る時間を差し引いて、控えめに見積もりましょう。
件数が少ない業務に大きな初期費用をかけると回収できず、件数が多い業務を機能の足りない類型で済ませると削減時間が伸びません。個別開発の費用対効果の考え方は、AIエージェント開発の費用相場の記事でも計算例を示しています。
迷ったら簡単な類型から試し、足りない部分だけ個別開発する
4つの質問に答えても決めきれない場合は、簡単な類型から試すのが基本です。

Claudeを開発するAnthropicは、エージェントの作り方をまとめた開発者向けの記事で、できるだけ単純な解決策を見つけ、必要な場合にだけ複雑さを増やすことを勧めています。
出典・参考:Anthropic「Building effective agents」(2024年12月19日) Building effective agents
これはシステムの設計についての指針ですが、類型選びにも同じ順番が当てはまります。まず契約中のソフトの機能で足りるかを確かめ、次にSaaS型やノーコード型で試し、それでも足りない部分だけを個別開発で補います。
個別開発に進むと決めたら、次は精度の目標や検収の条件を決める要件定義です。進め方はAI開発の要件定義を解説した記事で確認しましょう。
類型は1つに絞る必要はなく、標準的な業務はSaaS型、自社固有の業務は個別開発と使い分けられます!
類型別の導入例と、つまずきやすい点
類型ごとの具体例と、導入後につまずきやすい点を確認します。
SaaS型の例|経費精算の入力をエージェントが作成
株式会社ラクスは2025年12月1日、経費精算システム向けの「楽楽AIエージェント for 楽楽精算」β版の提供開始を公表しました。
同社の発表では、「スマートフォンアプリ上で領収書を選ぶだけで、AIエージェントが最適な精算データを自動で作成します」と説明されています。
出典・参考:株式会社ラクス プレスリリース(2025年12月1日) 「楽楽AIエージェント for 楽楽精算」β版の提供開始
これは2025年12月の発表時点の情報で、現在の提供状況と料金は公式ページで確認が必要です。対象業務が標準的な場合は、まず契約中のソフトと同じ分野のSaaS型から調べましょう。
ノーコード型でつまずきやすい点|作った人しか直せなくなる
ノーコード型について、当社が相談を受けるなかでよく見るつまずきが「作った人しか直せなくなる」状態です。統計ではなく、当社が受けた相談の範囲での傾向です。
ノーコード型は、詳しい担当者が1人いれば作り始められます。その反面、処理の手順や設定の意図が担当者の頭の中にしか残らないまま、業務で使われ始めることがあります。その担当者が異動や退職をすると、連携先の仕様が変わって処理が止まったときに、どこを直せばよいのかが分からなくなります。
防ぐ方法は、作る前に次の3点を決めておくことです。
- 処理の手順と、設定の意図を書いた引き継ぎ資料を残す
- 直せる担当者を2人以上にする
- 止まったときの連絡先と、手作業に戻す手順を決める
個別開発の例|会計ソフトを変えずに仕訳を自動化、1件約10分の登録を約30秒に
個別開発の例として、株式会社Last Sceneが支援した2つの仕組みを紹介します。
1つ目は経理の仕訳です。支援先では、利用中のクラウド会計ソフトを乗り換えずに、未仕訳の取引をAIが毎日評価し、4段階に振り分けています。
2つ目は、チケット販売サイトへのイベント登録です。支援先のイベント運営会社では、開催情報と画像を画面に1件ずつ入力しており、1件あたり約10分かかっていました。
この登録を自動化した結果、担当者の作業は1件あたり約30秒になりました。この仕組みは本番で稼働しています。
どちらも、対象を1つの業務に絞り、いま使っているソフトやサイトはそのままにして、手作業の部分だけを自動化した例です。
営業・採用・経理・事務の業務別の例と、削減時間の計算方法は、AIによる業務自動化の事例をまとめた記事で紹介しています。
製品の比較表やランキングを見るときの3つの注意点
類型が決まった後に、製品の比較表やランキングを参考にするときは、次の3点を確認しましょう。
- 完成品のSaaS、構築基盤、開発の材料になるAPIが、同じ表に混ざっていないか
- 料金がいつ時点のもので、ユーザー数・クレジット・実行回数のどれに対する金額か
- 無料枠や最安プランの上限に、自社の件数と人数が収まるか
料金と条件は改定されるため、最後は必ず公式ページで確認します。
AIエージェントの比較に関するよくある質問
無料プランだけで業務に使えますか?
試すためには使えますが、業務で使い続ける前提にはしないほうが安全です。無料のプランや無料枠には、利用量や利用できる人数などの条件が付く場合があります。
入力したデータの扱いが有料プランと同じかどうかも、利用規約で確認しましょう。本番で使う類型を決めるときは、有料プランの料金で3年間の総費用を計算します。
ノーコードで作ったエージェントは、後から個別開発に移せますか?
移せます。ただし、基盤の上で作った仕組みをそのまま持ち出せるとは限らず、作り直しになる部分が出ます。
ノーコード型で固めた処理の手順、例外の扱い、AIへの指示文は、個別開発の要件としてそのまま使えます。
SaaS型と個別開発は併用できますか?
併用できます。本記事で紹介した経理の例は、会計ソフトというSaaSを使い続けながら、その上に自社向けの自動化を足した形です。
標準的な部分はSaaS型に任せ、自社固有の部分だけを作ると、開発する範囲を小さくできます。
まとめ|AIエージェントは「業務の固有度」と「3年間の総費用」で選ぶ
AIエージェントは、完成品を契約するSaaS型、構築基盤の上で自社が組み立てるノーコード型、自社向けに作る個別開発の3類型に分けると比べやすくなります。
課金単位は類型ごとに違うため、「初期費用+月額費用×36か月+社内の構築・保守工数×時間単価」で3年間の総費用にそろえます。
本記事の仮定での計算例は、SaaS型324万円、ノーコード型240万円、個別開発948万円でした。ただし金額の小ささだけでは選べず、「減らせる作業時間×時間単価×36か月」から総費用を引いた結果で比べる必要があります。
選ぶときは、業務の固有度、契約中のソフトの機能、社内の担当者、3年間の削減時間の4つの質問に順番に答えましょう。
標準的な業務はSaaS型から、自社固有の手順が多い業務は個別開発まで含めて、同じ式で比べるのが基本です!
比較前の準備チェックリスト
製品の資料を集める前に、次の5項目を準備しましょう。

- 対象にする業務を1つ決め、手順と例外を書き出す
- 月間の件数、1件あたりの作業時間、利用する人数を数える
- 連携するシステムを書き出し、契約中のソフトのAI機能を確認する
- 入力するデータの種類と、外部サービスへの入力に関する社内ルールを確認する
- 作る担当と直す担当を決める(社内に置けない場合は外部に頼む範囲を決める)
株式会社Last Sceneは、業務の整理から、類型の選定、個別開発、運用の定着までを一貫して伴走しています。対象業務の手順と件数を一緒に書き出し、契約中のソフトで足りる部分と、作る必要がある部分を切り分けるところから始めます。
すべてを個別開発にする必要はありません。SaaS型やノーコード型で足りる業務はそのまま使い、自社固有の手順が残る部分だけを開発する進め方を基本にしています。
「自社の業務がどの類型に合うのか分からない」「費用の目安だけ知りたい」という段階でもご相談いただけます。
業務に合わせたAIエージェントを開発
その業務、AIで自動化できるか無料で診断します
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「この作業は自動化できる?」の一問からご相談ください。



