失敗しないシステム開発会社の選び方|発注前に確認すべき7つの基準

システム開発の外注では、何を基準に会社を選べばよいかわからないまま問い合わせを始めてしまうケースが少なくありません。
本記事では、発注前に確認すべき7つの基準と、その具体的な確認方法、会社タイプ別の向き不向き、失敗パターンと回避策までを整理します。
システム開発プロジェクトの成功率は52.8%。約半数が失敗している領域で、選定基準を持たずに発注するのは危険です!
7つの基準チェックリスト

まず全体像です。
この7項目が、システム開発会社を選ぶ際に確認すべき基準になります。
| # | 基準 | 何を確認するか | 打ち合わせでの確認方法 |
|---|---|---|---|
| 1 | 得意分野・開発実績 | 同業種・同規模の実績があるか | 「弊社と近い業種・規模の事例を見せてください」 |
| 2 | 開発体制 | 自社開発か外注依存か | 「実際に開発するのは御社の社員ですか」 |
| 3 | 対応工程範囲 | 要件定義から入れるか | 「要件定義から対応いただけますか」 |
| 4 | 保守運用 | リリース後のカバー範囲 | 「保守契約に含まれる範囲を教えてください」 |
| 5 | 費用の透明性 | 見積もりの内訳粒度 | 「工程別・機能別の内訳をいただけますか」 |
| 6 | コミュニケーション | 窓口と開発者の距離 | 「打ち合わせに開発責任者は同席しますか」 |
| 7 | プロジェクト管理 | 専任PMと報告体制 | 「専任のPMはつきますか。進捗報告の頻度は」 |
以降で、各基準の背景と判断のしかたを順に解説します。
システム開発会社を選ぶ前に整理すべきこと
会社選びの前に、発注側で決めておくべきことがあります。準備不足のまま問い合わせると、開発会社は提案の前提を推測で埋めるしかなく、提案の質が下がります。
日経コンピュータが1,745件のプロジェクトを分析した「ITプロジェクト実態調査2018」では、成功率は52.8%でした。スケジュールとコストが計画内に収まり、経営層とエンドユーザーの双方が満足と回答したものを成功と定義した数字です。
かつて3割程度と言われた領域から改善は進んだものの、依然として半数近くが未達で、原因の多くは開発が始まる前の段階にあります。
開発目的と解決したい課題の明確化
最初に言語化すべきは「何を作るか」ではなく「何を解決するか」です。「在庫管理システムを作りたい」は手段であって、目的ではありません。
目的は「毎月20時間かかる在庫の突合作業をなくしたい」「欠品による機会損失を減らしたい」といった、業務課題の形になります。
目的が手段の形で伝わると、開発会社は言われたとおりに作り、完成したのに業務が楽にならない事態が起こります。
整理には、現状と理想の業務フローを並べて書き出す方法が有効です。代替すべき工程が浮かび、そのままヒアリング資料にもなります。
この段階で完璧な要件定義書は不要です。要件定義は開発会社と詰める工程で、発注側は課題と優先順位を語れれば十分です。
予算・スケジュール・必要機能の優先順位付け
予算・スケジュール・機能はトレードオフの関係にあります。機能を増やせば予算と期間が増え、期間を縮めれば人数が増えて予算が膨らみます。
3つを同時には満たせないため、最優先を先に決めます。決まっていれば、予算が絶対条件なら機能を削る、期日が絶対条件なら段階リリースといった提案が出てきます。
曖昧なままだと、すべてを盛り込んだ高額な見積もりが出るか、後の工程で調整が発生します。
機能は「必須」と「あれば望ましい」の2段階に分けます。すべて必須にすると、コストが膨らむうえ、開発会社も優先順位を判断できません。
予算は運用開始後の費用も含めて考えます。保守費は初期開発費の年15〜20%程度が目安で、5年運用すれば初期開発費とほぼ同額に達することもあり、初期費用だけで組むと2年目以降に想定外の支出が出ます。
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システム開発会社の選び方|確認すべき7つの基準
ここからが本題です。
確認すべき基準は次の7つです。
- 得意分野と開発実績
- 自社開発体制か外注依存か
- 対応可能な工程範囲
- 保守運用のカバー範囲
- 費用の透明性と見積もりの粒度
- コミュニケーション品質
- プロジェクト管理体制
重要なのは、これらを「確認したかどうか」ではなく「どう確認するか」です。
Webサイトだけでは判断できない項目が多いため、打ち合わせで何を聞くかまで解説します。
得意分野と開発実績の確認方法
実績は「件数」ではなく「近さ」で見ます。実績1,000件という数字より、自社と同じ業種・同じ規模の案件を何件手がけたかが重要です。
業種が違えば業務知識がゼロから必要になり、規模が違えば進め方も変わるためです。
打ち合わせでは「弊社と近い業種・規模の事例を見せてください」と聞きます。守秘義務があっても業種・規模・課題・解決方法の概要は説明できるのが通常で、出てこないなら経験は薄いと判断できます。
事例を見せてもらったら、次の3点を確認します。
- どんな課題を解決したのか(機能の羅列ではなく、業務がどう変わったか)
- 開発期間と体制(何名で何ヶ月かかったか)
- リリース後どうなったか(現在も稼働しているか、改修は続いているか)
特に3点目は見落とされがちです。長く使われているシステムを手がけた会社は、運用まで見据えた設計ができます。
あわせて見たいのが、費用の透明性です。見積もりの出し方に、開発会社の姿勢が最もよく表れます。
システム開発の費用は「人月単価 × 工数」で決まります。
エンジニア1人が1ヶ月作業する分の作業量を表す単位です。3人月であれば、1人で3ヶ月、あるいは3人で1ヶ月かかる規模を意味します。
職種別の人月単価の目安は、プロジェクトマネージャー約70万〜130万円、システムアナリスト約80万〜110万円、アーキテクト約70万〜90万円、プログラマー約60万〜70万円です。
地域差もあり、首都圏で100万円のところ、地方では60〜70万円程度というケースもあります。
見積書は、この構造に分解できるかを確認します。「システム開発一式 800万円」としか書かれていなければ、比較も交渉もできません。
「工程別・機能別の内訳をいただけますか」と依頼すれば、どの機能を削れば予算に収まるかを発注側で判断できます。
内訳を出さない、出せない会社は、根拠のない概算で応じている可能性があります。
自社開発体制か外注依存かの見極め方


契約した会社が、実際に開発するとは限りません。
発注企業から一次請け、二次請け、三次請けへと階層的に委託が続き、ピラミッド型の委託関係が形成される構造です。1980年代以降の大規模開発の需要増に対応するため、短期間でエンジニアを集める手段として広がりました。
この構造は、発注者に3つのリスクをもたらします。
1つ目は品質の低下です。階層が深いほど情報伝達の遅延とロスが生じ、発注者の意図が末端に届くまでに変質します。
2つ目は情報漏洩リスクです。自社の業務情報や顧客データが、契約していない企業まで渡ることになります。
3つ目は責任所在の不明確化です。問題が起きたとき、どの階層の責任なのかが曖昧になり、対応が遅れます。
コスト面でも不利です。各階層でマージンが乗るため、実際に手を動かすエンジニアに届く割合は下がります。「中抜き」は受注側だけでなく、発注企業にとってもコストアップの問題です。
見極め方は「実際に開発するのは御社の社員ですか」と聞くことです。自社開発が主軸なら即答でき、協力会社に一部を出す場合も、どの工程を誰が担当するか説明できます。
曖昧な場合や「パートナー企業と連携して」とぼかされる場合は体制図を求め、各メンバーの所属会社が明記されているかを確認します。
協力会社の活用自体が悪いのではなく、専門性の高い領域だけを外部に出すのは合理的です。問題は、開発の中核をまるごと外部に流し、自社は管理だけを行う体制です。
契約書に再委託の可否と範囲を明記しておけば、意図しない多重下請けは防げます。
対応可能な工程範囲(要件定義~保守運用)


対応工程は、上流と下流の両端を確認します。
システム開発の工程は、一般的に次のように分かれます。
| 工程 | 内容 | 発注側の関与度 |
|---|---|---|
| 要件定義 | 業務課題を整理し、実現すべき要件を決める | 高い |
| 基本設計 | 画面・帳票・データ構造など外から見える仕様を決める | 高い |
| 詳細設計 | 内部の処理方式を設計する | 低い |
| 実装 | プログラムを書く | 低い |
| テスト | 単体・結合・総合テストを行う | 中(受入テスト) |
| 移行 | 既存データを新システムへ移す | 高い |
| 保守運用 | 稼働後の障害対応・改修を行う | 中 |
関与度が「高い」工程を一緒に進められるかが分かれ目です。特に要件定義と移行は業務知識が要り、ここを発注側任せにする会社だと社内に負荷が集中します。
上流は「要件定義から対応いただけますか」と聞きます。完成を発注側に求める会社もありますが、開発経験のない企業が単独で行うのは現実的ではありません。伴走できる会社なら、業務課題の整理から相談できます。
下流は保守運用の範囲が焦点です。納品して終わりではなく、稼働後もOSやミドルウェアの更新、法改正対応、不具合修正が発生します。
「保守契約に含まれる範囲を教えてください」と聞いたうえで、次の4点を文書で確認してください。
- 障害発生時の対応時間と連絡手段
- OS・ミドルウェアのバージョンアップ対応が含まれるか
- 機能追加は別見積もりか、月額に含まれるか
- サーバー費用の負担はどちらか
保守費は初期開発費の年15〜20%程度が目安ですが、範囲設定で実質負担は大きく変わります。20%を大幅に超える場合は、内訳の見直しを求めるサインとされています。
比較は初期費用ではなく、5年程度の総保有コスト(保守・運用・ライセンス・改修)で見ます。初期が安くても改修単価が高ければ、総額で逆転します。
コミュニケーション品質とプロジェクト管理体制
コミュニケーションは、契約前の対応でほぼ判断できます。返信の速さ、質問の的確さ、こちらの説明を業務レベルで理解しているかが、そのまま対応品質に表れます。
提案書の内容より、やり取りそのものを観察してください。
体制面は、窓口と開発者の距離です。営業だけが窓口で開発者と話せないと認識齟齬が起きやすいため、「打ち合わせに開発責任者は同席しますか」と確認します。
プロジェクト管理体制については、次の3点を確認します。
- 専任のプロジェクトマネージャーがつくか、兼任か
- 進捗報告の頻度と形式(定例会の有無、報告書の粒度)
- 課題管理に使用するツールと、発注側がそれを閲覧できるか
進捗が見えないまま数ヶ月が過ぎ、納期直前に遅延が発覚するのは典型的な失敗です。週次で進捗を確認できる体制かは、契約前に決めます。
もう一点は「悪い報告が上がってくるか」です。順調な報告しか出てこないプロジェクトほど、後半で問題が噴出します。
初回の打ち合わせで、過去の遅延やトラブルをどう立て直したかを聞いてみてください。具体的に話せる会社は、問題を隠さない文化があります。



7つの基準はすべて、契約前の打ち合わせで確認できます。聞きにくいと感じる質問ほど、答えにその会社の実態が表れます!
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開発会社のタイプ別比較|大手SIer・中小・フリーランス


発注先は大きく3タイプに分かれ、適した案件規模が異なります。
| タイプ | 適した予算規模 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 大手SIer | 数千万円〜 | 品質保証・セキュリティ・監査対応・長期保守体制 | 単価が高い、柔軟性に欠ける、多重下請けになりやすい |
| 中小開発会社 | 数百万〜数千万円 | 間接コストが低い、直接開発、意思決定が速い | リソースに上限、大規模案件は不向き |
| フリーランス | 〜数百万円 | 単価が最も低い、機動力が高い | 属人化、体制リスク、継続性の不安 |
自社の案件がどのレンジに入るかで候補が絞られます。予算300万円を大手SIerに持ち込んでも受注されないことが多く、5,000万円規模の基幹システムをフリーランスに任せるのは体制的に無理があります。
予算以外の判断材料としては、次の3点が効きます。
| 判断材料 | 大手SIerが向く | 中小開発会社が向く |
|---|---|---|
| 社外説明の必要性 | 監査・株主・行政への説明が必要 | 社内判断で完結する |
| システムの寿命 | 10年以上使う基幹システム | 3〜5年で見直す前提 |
| 要件の確定度 | 仕様が固まっている | 走りながら決める部分がある |
3項目とも左なら大手SIer、右なら中小開発会社です。混在する場合は要件定義だけを実績の厚い会社に依頼し、実装以降を別会社に任せる分割発注もありますが、責任の境界が曖昧になるため、引き継ぎ方法を契約時に決めます。
大手SIerの強みと注意点
大手SIerの強みは、体制と保証にあります。品質保証のプロセスが確立しており、セキュリティ基準や監査対応も整備されています。
上場企業や金融機関のように外部監査で体制説明を求められるなら、代替が効きません。長期保守も安定しており、10年単位で使う基幹システムに適します。
一方で注意点は2つあります。
1つはコスト構造です。企業規模が大きいほど間接経費が高く、同等の成果物でも費用が上がり、多重下請けのマージンも単価に乗ります。
もう1つは柔軟性です。承認プロセスが厚く仕様変更の判断に時間がかかるため、要件が動く新規事業では足かせになります。
中小開発会社・フリーランスの強みと注意点
中小開発会社の強みは、コストと距離の近さです。間接コストが低いため、同じ品質でも大手より単価を抑えられます。
自社開発が主軸の会社が多く、発注者と開発者の距離が近いため伝達ロスが起きにくく、意思決定も速い傾向があります。
注意点はリソースの上限です。同時に動かせる案件数に限りがあり、大規模や短納期の大量開発には対応できないことがあります。何名を何ヶ月アサインできるかを確認してください。
フリーランスは単価の低さと機動力が魅力で、小規模なツール開発や既存システムの部分改修であれば有力な選択肢になります。
タイプ選びで最も多い失敗は「予算に合わないタイプに相談して時間を浪費する」こと。まず予算レンジで候補を絞りましょう!
開発手法の違いを理解して選定精度を上げる
開発手法を理解すると、選定の精度が上がります。手法は開発会社が決めるものと思われがちですが、案件に合った手法を提案してくるかが、その会社の力量を測る材料になります。
ウォーターフォール vs アジャイルの使い分け


判断軸は「仕様変更が起きるかどうか」の一点です。
要件定義、設計、実装、テストという工程を順に進め、後戻りしないことを前提とする開発手法です。
機能単位で小さく区切り、設計から実装、テストまでの短いサイクルを繰り返しながら進める開発手法です。
| 比較項目 | ウォーターフォール | アジャイル |
|---|---|---|
| 適した案件 | 仕様が固まっている | 仕様が動く可能性がある |
| 予算・納期の見通し | 立てやすい | 立てにくい |
| 仕様変更への対応 | 難しい | 柔軟 |
| 全体の把握 | しやすい | しにくい |
| 開発期間 | 長期化しやすい | 短いサイクルで動く |
既存業務をそのままシステム化する案件のように、作るものが明確で変更の余地が少ない場合はウォーターフォールが適します。予算とスケジュールを事前に確定でき、社内稟議も通しやすくなります。
一方、新規事業のシステムやユーザーの反応を見ながら改善していくプロダクトでは、最初にすべてを決めきれない前提に立つアジャイルが向きます。
上流工程と下流工程はウォーターフォール、中流の開発フェーズをアジャイルで回すハイブリッド型もあります。予算の見通しを立てつつ、実装段階での柔軟性を確保できます。
手法を確認する際は、契約形態もあわせて聞いておいてください。手法と契約形態は連動しています。
「アジャイルで進めます」と提案しながら請負契約を求めてくる場合は、条件の整合性を確認してください。完成責任を負ったまま仕様変更を受け入れる形になり、どこかで無理が生じます。
打ち合わせでは提案された手法の理由を聞き、自社の案件特性に紐づけて説明できるかを判断材料にします。
ノーコード・ローコード開発を提案できる会社の見極め方
すべてをスクラッチで作る必要がない案件も増えています。
プログラミングを最小限に抑え、あらかじめ用意された部品を組み合わせてシステムを構築する手法です。ノーコードはコードを書かず、ローコードは一部にコードを併用します。
この領域は市場としても拡大しています。
デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によると、ローコード/ノーコードプラットフォームソリューション市場は2023年度が3,144億円(対前年比112.9%)、2024年度が3,589億円(同114.2%)、2025年度は4,085億円(同113.8%)を見込むとされています。
重要なのは、手法ありきでなく要件に応じて提案できるかです。スクラッチしか持たない会社はノーコードで足りる案件にもフルスクラッチを提案し、ノーコード専業は実現できない要件でも自社ツールに収めようとします。
見極めには「弊社の要件だと、どの手法が適していますか。その理由も教えてください」と聞きます。ノーコードが向かないケースを説明できる会社は、手法の限界を理解しています。
実際、ノーコードには機能の上限があります。独自処理や外部システムとの複雑な連携が必要になった時点で対応できず、作り直しになるリスクがあります。
将来的な拡張を見込むなら、初期コストが上がっても通常の開発を選んだほうが、総額では安く済むケースもあります。
システム開発会社への依頼の流れ6ステップ


依頼は次の6ステップで進みます。
- 問い合わせ
- ヒアリング・要件定義
- 見積もり比較
- 契約
- 開発・テスト
- 納品・運用開始
ここでは手順そのものより、各ステップで開発会社の何を見極めるかという観点で整理します。
問い合わせ~要件定義~見積もり比較
STEP1. 問い合わせ
最初の接点が最初の判断材料です。返信の速さだけでなく、課題を踏まえた質問が返ってくるかを見ます。定型文で面談に誘導する会社と、事前に論点を整理してくる会社では、進行が大きく変わります。
STEP2. ヒアリング・要件定義
ヒアリングでは、機能ではなく業務の話をどれだけ聞くかを見ます。「どんな機能が欲しいですか」しか聞かない会社は言われたとおりに作り、「その業務は今どう回していますか」まで踏み込む会社は課題から設計できます。
STEP3. 見積もり比較
複数社から見積もりを取る場合は、全社に同じ資料を渡すことが前提です。渡す情報が違えば、金額の差が条件の差なのか実力の差なのか判別できません。
金額に大きな開きが出たときは、安い会社が何を含めていないかを確認してください。テスト工程、ドキュメント作成、保守初年度分などが除外されているケースがよくあります。
契約~開発・テスト~納品・運用
STEP4. 契約
契約で必ず確認すべきは、検収条件と著作権の帰属です。検収条件とは「何をもって完成とするか」の定義で、これが曖昧だと稼働後に発覚した不具合の修正費用をどちらが負担するかで揉めます。
著作権は、契約書に明記しない限り開発会社に帰属します。単に「著作権を譲渡する」と書くだけでは不十分で、著作権法第27条(翻訳権・翻案権等)と第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)は、譲渡の目的として特に明記しなければ譲渡されません。これを落とすと、改修や機能追加を他社に依頼できなくなります。
STEP5. 開発・テスト
進捗報告が約束どおり行われているかを確認します。報告が遅れ始めたときは、遅延の兆候と考えて早期に状況確認をしてください。
受入テストは、機能単位の確認ではなく、実際の業務フローで一連の操作ができるかを検証します。機能単位は開発会社が行うため、発注側は業務シナリオに注力すると効率的です。
STEP6. 納品・運用開始
納品物にソースコードと設計ドキュメントが含まれているかを確認します。これらがないと、将来の改修時に他社へ引き継げません。
Web・モバイルアプリ・AIアプリの実績多数
Last Sceneへお任せください!
- 開発は丸投げしたいがプロジェクトができるか不安
- リードエンジニアがいない
- パフォーマンスはもちろんのことコストにもこだわりたい



大規模アプリ開発や、0からのサービス開発など
案件の規模に合わせた最適なご提案が可能です。
よくある失敗パターンと回避策
失敗の多くは、開発中ではなく選定段階で防げたものです。ここでは代表的な2パターンを、選定でどう回避するかという観点から整理します。
「安さ」だけで選んで品質トラブルになるケース
安い見積もりが後で高くつくのには、3つの構造的な理由があります。
1つ目は要件の解釈差です。安く見積もる会社は曖昧な要件を最小限に解釈するため、当然含まれると思っていた機能が「それは追加要件です」となり、後から積み上がります。
2つ目は、下請け構造です。低単価を実現するために開発を外部に出している場合、前述の品質低下と責任所在の不明確化のリスクが発生します。
3つ目は、保守の別料金化です。初期費用を下げる代わりに保守費や改修単価を高く設定するモデルでは、5年単位の総額で逆転します。
回避策は、金額ではなく内訳を比較することです。同じ要件書を3社に渡し、工程別・機能別の内訳を並べれば差が見えます。他社にある項目が存在しないなら、それは値引きではなく除外です。
見積もりを比べる際に、特に差が出やすいのは次の項目です。
| 確認項目 | 除外されていた場合に起きること |
|---|---|
| 要件定義工程 | 発注側で要件を固める必要が生じ、社内工数が膨らむ |
| テスト工程 | 不具合が残ったまま納品され、修正が追加費用になる |
| 設計ドキュメント | 将来の改修時に他社へ引き継げなくなる |
| データ移行 | 既存データの移行を別途発注することになる |
| 保守初年度 | 稼働直後から保守費が別途発生する |
金額差の理由を説明できない会社は、見積もりの根拠を持っていません。「なぜ他社より安いのですか」と率直に聞き、条件の違いを具体的に説明できるかを確認してください。
要件定義の甘さによるスコープクリープ
システム開発の失敗要因として最も多く挙がるのが、要件定義の不備です。
スケジュール・コスト・資源の調整を伴わないまま、プロジェクトの範囲が管理されずに拡大していく現象です。変更管理の手続きを踏んだ正式な仕様変更とは本質的に異なります。
発生のメカニズムはこうです。変更依頼が口頭やチャットで断片的に伝わると、開発会社は「仕様変更か、もともと含まれた修正か」を判断できず、曖昧なまま積み重なって、まとめて請求されるか納期が押します。
特に見落とされやすいのが非機能要件です。
機能そのものではなく、性能・可用性・セキュリティなど、システムの品質に関わる要件です。
IPA(情報処理推進機構)が公開する「非機能要求グレード2018」では、非機能要求を可用性、性能・拡張性、運用・保守性、移行性、セキュリティ、システム環境・エコロジーの6分類に整理しており、漏れなく検討するための枠組みとして使えます。
非機能要件は機能要件に比べて見落とされやすく、本番稼働後のトラブルに直結します。「1,000人が同時アクセスしたら止まった」といった問題は、性能要件を定義していなかったことが原因です。
回避策は、要件定義に十分な時間を確保する会社を選ぶことです。「要件定義は1週間で終わります」と即答する会社より、業務理解にかける時間を説明する会社のほうが、結果的に総額は安くなります。
契約後の運用としては、変更依頼を必ず文書で残し、その都度スケジュールとコストへの影響を確認するルールを最初に決めておいてください。



スコープクリープは「変更が多いこと」ではなく「変更が管理されていないこと」が問題。変更管理のルールを契約時に決めましょう!
RFP(提案依頼書)の作成ポイント
発注者が開発会社に対して、実現したいことや条件を示し、提案を依頼するための文書です。Request For Proposalの略称です。
RFPの目的は、書式を整えることではなく、各社から比較可能な提案を引き出すことです。同じ情報を渡すからこそ、提案と金額の差が実力差として読めます。口頭説明だけでは前提が変わり、比較が成立しません。
RFPに盛り込むべき項目と記載例
RFPの標準的な構成は次の9項目です。
| 項目 | 記載内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| プロジェクト概要 | 背景・目的・解決したい課題 | 手作業の在庫突合に月20時間を要しており、これを削減したい |
| 業務・システム概要 | 現行の業務フローと既存システム | 現在はExcelで管理。基幹システムとは連携していない |
| 機能要件 | 必要な機能と優先度 | 在庫照会(必須)、発注アラート(必須)、分析レポート(任意) |
| 非機能要件 | 性能・可用性・セキュリティ等 | 同時接続50名、稼働率99.5%以上、外部からのアクセスは不可 |
| 開発条件 | 技術的な制約や指定 | 既存の基幹システムとAPI連携が必要 |
| 提案依頼事項 | 提案してほしい内容 | 開発手法、体制図、スケジュール、概算費用 |
| 提案手続き | 提出期限・形式・問い合わせ先 | 提出期限は◯月◯日、形式はPDF |
| 評価 | 選定基準と配点 | 実績30点、体制30点、費用25点、提案内容15点 |
| 契約事項 | 契約形態・著作権・検収条件 | 請負契約、著作権は第27条・第28条を含め発注者に帰属 |
力を入れるべきは、非機能要件と評価基準の2項目です。非機能要件はIPA「非機能要求グレード」の6つの大項目を見出しに使うと漏れを防げます。重要なカテゴリだけでも定義すれば、認識のずれは大きく減らせます。
評価基準を明示すると、開発会社が何をアピールすべきかを理解して提案の質が上がり、社内でも選定理由を説明しやすくなります。
RFPは完璧である必要はありません。決まっていないことは「未定」と書いて構いません。むしろ明示するほうが、開発会社は前提の置き方を提案してくれます。
システム開発会社の選び方に関するよくある質問
見積もりは何社くらいから取るべき?


3社程度が適正です。2社では比較対象が少なく金額の妥当性を判断しにくく、5社以上になるとヒアリングや打ち合わせの負担が大きく、選定そのものが停滞します。
社数以上に重要なのが、全社に同じ資料を渡すことです。RFPを用意し、同一条件で提案を受けてください。情報が違うと、金額差が条件差か実力差か判別できません。
比較する際は、初期費用ではなく5年程度の総保有コストで見ます。保守費が年15〜20%程度かかる前提で5年分を加算すると、初期費用の順位が入れ替わることがあります。
開発途中で会社を変更することはできる?
可能ですが、コストは大きくなります。変更時に問題になるのは、成果物の引き継ぎです。
ソースコードとドキュメントが揃っていなければ、新しい会社は既存部分の解析から始めるため工数が追加されます。設計思想が文書化されていなければ、作り直したほうが安いという判断にもなります。
そのため、途中変更のリスクを下げる備えは契約時に済ませておきます。具体的には次の3点です。
- 著作権を著作権法第27条・第28条を含めて発注者に帰属させる
- ソースコードと設計ドキュメントを納品物に含める
- 工程ごとの部分検収を設定し、途中段階でも成果物を確保する
これらが契約に含まれていれば、万一の変更時にも損失を最小化できます。逆に言えば、これらの条件を渋る会社は、乗り換えにくい状態を意図的に作っている可能性があります。
まとめ
システム開発会社の選び方について、要点を整理します。
- システム開発プロジェクトの成功率は52.8%。約半数が未達に終わっており、選定基準を持つことが前提になる
- 選ぶ前に、開発目的と、予算・スケジュール・機能の優先順位を発注側で決めておく
- 確認すべき基準は7つ。得意分野と実績、自社開発体制、対応工程範囲、保守運用、費用の透明性、コミュニケーション、プロジェクト管理体制
- 実績は件数ではなく「自社と近い業種・規模か」で見る
- 「実際に開発するのは御社の社員ですか」の一言で、多重下請けのリスクを確認できる
- 費用は初期費用ではなく、保守費(年15〜20%程度)を含めた5年の総保有コストで比較する
- 相見積もりは3社程度。全社に同じRFPを渡すことが比較の前提
- 契約時に著作権(第27条・第28条を含む)とドキュメント納品を明記しておく
選定の成否は、聞きにくい質問をどれだけ契約前に聞けたかで決まります。遠慮した分だけ、後のリスクになります!
システム開発会社を選ぶ際、最も判断が難しいのは「要件がまだ固まっていない段階で、どこに相談するか」という点です。
Last Sceneは、要件定義から開発、運用、社内での内製化支援までを一気通貫で伴走する受託開発会社です。
開発は自社体制で行い、要件に応じてネイティブ開発、クロスプラットフォーム開発、Webシステム開発から適した手法を選定して提案します。
CursorやClaude CodeといったAI開発ツールをフル活用することで、最短5営業日でのデモ提示を実現しています。
本記事の7つの基準に照らして比較検討いただけますので、企画段階の相談からお気軽にお問い合わせください。
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